この世界線で、どこかの世界線の彼女に想われる話。�� ページ31
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「零、秀一…」
寝ぼけているであろう彼女は、仰向けで天井を見たままポツリと呟いた。
自分の名が呼ばれなかったことに、面白くなくて彼女を覗き込む。
そして促せば、彼女は俺たち三人を見て笑った。
「…唯、貴方が生きててよかった」
Aちゃんは、そう心から思っているのだ。
「零と秀一が、泣いてなくてよかった」
俺が生きていて良かったと。
ゼロが、秀一が泣いていなくて良かったと。
そして、
「貴方達が、明るい場所で三人で、笑ってくれていてよかったよ」
自分は生きていてはいけないと、そう心から思っているのだ。
柔い笑みが、潤んだ瞳が、伝った涙が。
その一つ一つが自身の存在を否定していると。
俺はそう感じるのだ。
ゼロの、大きく見開いた目が段々と潤んで、透明な雫が落ちていく。
秀一の、モスグリーンの瞳に安堵が映り、それが広がっていく。
俺は、靄がかった気持ちを隠して苦笑を浮かべた。
彼女の、俺が生きていて良かったというセリフが俺には違う意味に聞こえる。
俺が死ぬ代わりに私が死にたかったと、そう聞こえるのだ。
「…ああ、」
だから、俺もいうよ。
キミが心からちゃんと納得するまで。
俺が心の底から肯定するよ。
「俺も、Aちゃんが生きてて良かったと思うよ」
キミは生きていていいのだと。
笑って、怒って、悲しんで、憂いて…そんな風に生を謳歌する権利があると。
俺たちと一緒に、人生を歩めばいいのだと。
だから。
だからそんなに苦しそうな顔をしないでほしい。
俺たちの事を、子どもを見るような目で見ないでほしい。
ちゃんと、この世界の『俺たち』を見てほしい。
「…ありがとう、唯」
そんな宥めるような声で返事をしないでくれ。
お前はわかっていないよ、俺が、秀一が、ゼロがお前をどんなに大事に思っていたか。
なぜ三年以上の月日を、信じて待つことができたのか。
前世なんて自分の知らないものをすんなりと受け入れられたのか。
ちゃんと考えてくれよ。
お願いだからもう死ぬことなんて諦めてくれよ。
そんな死の淵に立つような顔を、目をするな。
生きることから逃げるなんて、楽な方へと逃げるなんてしないでくれ。
「Aちゃん、俺ら三人の誰かと付き合わない？」
だから、俺はどうにかしてキミをこの世に縛り付けるよ。
にっこり笑った俺に返ってきたのは、呆然とした3対の視線だった。
この世界線で、何かが始まろうとしている話。�、�←この世界線で、どこかの世界線の彼女に想われる話。��
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さち - おもしろいです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年5月22日 0時) (
レス) id: 43b8d3401a (このIDを非表示/違反報告)
Blanche*(プロフ) - 思わず泣いてしまった....... 続きが気になります!! 無理のない範囲で頑張って下さい!!!!!! 応援しております!!!!!! (2019年5月21日 22時) (レス) id: 5327bf9003 (このIDを非表示/違反報告)
ナシ(プロフ) - コメント失礼します！おもしろいし、感動して何度も泣いてしまいました。続き気になります！更新頑張ってください！！ (2019年5月21日 18時) (レス) id: 9c83a487c9 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - めっちゃ面白いです！！ほんとに！！更新楽しみにしてます！ (2019年4月4日 14時) (レス) id: cb719f86c6 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 大好きで何回も何回も読み直してます！！更新待ってます！！ (2018年9月27日 7時) (レス) id: cb719f86c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甘夏蜜柑
| 作成日時：2018年3月24日 0時
