どこかの世界線で、全てが終わった後の告白。�� ページ26
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「寝れないんだ、」
表情を変えずに、涙を流す彼はどこか壊れてしまったように見える。
茫然自失、と言ったほうが似合うだろうか。
…私心理カウンセラーじゃないんだけど。
真逆のことやってきた人間なのだけど。
「毎晩翠川が出てきて、言うんだよ。『お前があの時駆け上がって来なけりゃ俺はまだ生きてられたかもしんねぇな』って」
「スコッチってそんな奴だった？」
「…違うんだよ、笑いながら言うんだ。『引き金を引いたのがお前でよかったよ』って、」
グ、と唇を噛んだ彼は、細く掠れた声で零す。
憎んでくれたほうがよかった、と。
「赤井 秀一の所為にしたのは、俺がスコッチの死を吞み下すためだった。
違和感は見ないふりをしたんだ、俺が…殺したとわかって仕舞えば俺は冷静でいられなかった。
それなのに赤井は、俺が理不尽に怒鳴っても殴りかかっても飄々と流してくれた。
本当ならアイツに合わす顔なんてないんだ…なのに、」
そこで言葉を止める零は、両手で顔を覆ってしまう。
そんな彼に声には出さずとも、少し驚いていた。
彼の中では、秀一がただの思慮深く、慈悲深い人間になっている。
昨日話を聞いた限りでは、そうとは思えないと言うのに。
君が思っているよりも秀一は狡猾だよと、教えてあげたかった。
しかし、それはまた彼に負担をかけることになるだろうと口を噤む。
「私はどっちもどっちだと思うけどね」
そんなふうに曖昧に返して、視線を逸らした。
あまり人が泣くところを見るのは得意ではない。
人の命乞いは涙を伴うのが常であったから、血生臭い記憶が湧き上がるのだ。
「銃を不用意に奪われた秀一も、必死のあまりに注意を怠った零も。
どちらか欠けてきたら、きっとスコッチは死ななかった。でも、この二つが揃った…だから死んだ。
それだけのことだ。…私が、君たち三人揃っての弁論がなければ死刑であったように」
それとも今から死刑にするかい、と面白半分に問いかけたが返事はない。
降谷 零も赤井 秀一も、何故人の心などまともにわからない人間に悲痛な嘆きを、叫びを慟哭を、吐き出していくのだろうか。
スコッチを知っている、唯一話せる人間だからだろうか。
「…もう要件は終わり？なら早く帰って休みなよ」
ほら、優しい言葉一つ吐いてやることもできない。
私はまだ、組織にいた頃と何一つ変わってない。
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さち - おもしろいです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年5月22日 0時) (
レス) id: 43b8d3401a (このIDを非表示/違反報告)
Blanche*(プロフ) - 思わず泣いてしまった....... 続きが気になります!! 無理のない範囲で頑張って下さい!!!!!! 応援しております!!!!!! (2019年5月21日 22時) (レス) id: 5327bf9003 (このIDを非表示/違反報告)
ナシ(プロフ) - コメント失礼します！おもしろいし、感動して何度も泣いてしまいました。続き気になります！更新頑張ってください！！ (2019年5月21日 18時) (レス) id: 9c83a487c9 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - めっちゃ面白いです！！ほんとに！！更新楽しみにしてます！ (2019年4月4日 14時) (レス) id: cb719f86c6 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 大好きで何回も何回も読み直してます！！更新待ってます！！ (2018年9月27日 7時) (レス) id: cb719f86c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甘夏蜜柑
| 作成日時：2018年3月24日 0時
