どこかの世界線で、全てが終わった後の懺悔。�� ページ24
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「別に秀一を責めてるわけじゃないよ。人間、誰だってそうだからね」
目の前で引き止めたにも関わらず、死んでしまった翠川さん。
降谷くんが降谷くんがとは言っていても彼自身が彼の事を少なくとも好ましく思っていたのだろう。
どうも取り返せない失敗をして、後悔が渦巻く中、誰にも責められないというのは心理的にキツい。
なら、彼を大事に思っていたであろう零に憎んで責めて貰おうと、そうすれば自分で自分を責めるより幾分か楽。
「ひとつ、意地の悪い事を言おうか」
彼の飲み干したグラスの中に新しいスコッチを注いでいく。
淵いっぱいに注がれたそれは、少しでも揺れれば零れ落ちてしまうことだろう。
「あんなに憎悪を向けていた矛先が間違っていた。しかも、正しいそれは自分。
でも唯一それを知る秀一は自分を憎んでくれやしない。
殺したいほど憎い対象が自分になったら、怒鳴るわけにも殴りかかるわけにもいかない。
でも今さらこの憎いという気持ちを消すことはできない。
さあ、彼は次にどういった行動に移る？」
口を噤んでしまった秀一に、苦笑を浮かべた。
いじめすぎてしまったかもしれないと、少し反省する。
「零は強いから、一般的な例には当てはまらないと思うけど。でも、そうなってもおかしくない状況だとは思うよね」
「…俺がやった事は間違っていたのか？」
「いや、私が秀一の立場にいても同じ事をやったと思うよ。ただ、私は懺悔なんてものをされても貴方を責めることも許すことも出来ないよってだけ」
揺れた翡翠色の瞳は、私を見ている。
それを微動だにせず見返していれば、彼が深く息を吐いた。
それは、安堵に近いものだったかもしれない。
「それでもいいさ、俺の懺悔を聞いてくれ。俺は許されたいわけじゃない…ただ、この話を共有できる人が欲しい」
「…コナンくんにでも言えばいいのに」
「ボウヤにもいつかは言うさ」
カラン、と崩れた氷が音を立てた。
この日から、晩酌という名目に懺悔というものが足された。
車に引かれそうになった男の子を助けて死ぬまで、私は彼の懺悔を聞くようになる。
また、それの合図は彼がスコッチの瓶を持って来た時。
翠川さんの話をするときには、必ずスコッチを飲みながら話す。
故人を思いながら飲むというのは初めてで、始めは戸惑っていたものだ。
しかし、これもまた日常になる。
なぜなら、ほぼ毎日がそうなるのだから。
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さち - おもしろいです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年5月22日 0時) (
レス) id: 43b8d3401a (このIDを非表示/違反報告)
Blanche*(プロフ) - 思わず泣いてしまった....... 続きが気になります!! 無理のない範囲で頑張って下さい!!!!!! 応援しております!!!!!! (2019年5月21日 22時) (レス) id: 5327bf9003 (このIDを非表示/違反報告)
ナシ(プロフ) - コメント失礼します！おもしろいし、感動して何度も泣いてしまいました。続き気になります！更新頑張ってください！！ (2019年5月21日 18時) (レス) id: 9c83a487c9 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - めっちゃ面白いです！！ほんとに！！更新楽しみにしてます！ (2019年4月4日 14時) (レス) id: cb719f86c6 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 大好きで何回も何回も読み直してます！！更新待ってます！！ (2018年9月27日 7時) (レス) id: cb719f86c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甘夏蜜柑
| 作成日時：2018年3月24日 0時
