どこかの世界線で、何かが始まる前の話。�� ページ2
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「…やっと、みつけた」
カン、カン、カン
と、音を立てて登る階段。
私はこの音が何よりも嫌いだった。
全てを狂わせた、この音が。
誰も来ないような路地裏に建つ古い建物の屋上。
こんな時代であるにも拘らず、鍵がかかっていないことを私は知っていた。
ゆっくりと、錆びて今にも壊れそうなドアを押し開けた。
ああ、ここだ。
音を立てて心臓が跳ねる。
そのまま真っ直ぐと大股で10歩ほど進めば、小さなビルは行き止まり。
そのまま跪いて、何もない今にも崩れそうなビルの転落防止用の壁に手の平を当てた。
『前に』見たような黒い染みは無い。
銃痕も、匂いも、何もかもない。
視界が歪んだような気がした。
頬を伝うの雫は、安堵からか。
『『おれのせい』』
そんな、重なった声が聞こえた気がした。
苦笑を浮かべて頭をゆっくり左右に振る。
…私は、この声をもう二度と聞かないためにこの場所にいるのだから。
スッと視線を上げれば、雲ひとつないほどに綺麗に晴れた空。
そこに浮かんだ太陽に手のひらを透かして見た。
血液が透けて、指先から平まで全てが赤く染まっている。
「ねえ、ライ、バーボン…スコッチ。貴方達は今、何をしているの？」
もう組織に入っている頃かな、なんて思いながら立ち上がった。
この場所を10年以上かけてやっと見つけたのだ、やる事は山積みである。
それでも弱音なんて吐く暇などない。
二度目の人生を受けたあの日から。
私は、あの二人の苦しみを取り去りたいと思っていたのだ。
それが過去を捻じ曲げる事になろうとも、躊躇することはない。
一度目の人生で聞いた彼らの独白が、私を苦しめて止まないのだから。
どこかの世界線で、何かが始まる前の話。�□�←どこかの世界線で、全てが終わった後の話。
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さち - おもしろいです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年5月22日 0時) (
レス) id: 43b8d3401a (このIDを非表示/違反報告)
Blanche*(プロフ) - 思わず泣いてしまった....... 続きが気になります!! 無理のない範囲で頑張って下さい!!!!!! 応援しております!!!!!! (2019年5月21日 22時) (レス) id: 5327bf9003 (このIDを非表示/違反報告)
ナシ(プロフ) - コメント失礼します！おもしろいし、感動して何度も泣いてしまいました。続き気になります！更新頑張ってください！！ (2019年5月21日 18時) (レス) id: 9c83a487c9 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - めっちゃ面白いです！！ほんとに！！更新楽しみにしてます！ (2019年4月4日 14時) (レス) id: cb719f86c6 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 大好きで何回も何回も読み直してます！！更新待ってます！！ (2018年9月27日 7時) (レス) id: cb719f86c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甘夏蜜柑
| 作成日時：2018年3月24日 0時
