【テニプリ】とても可愛いお姫様だね part 2 (ページ10)

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仁王side

貴「…すみません…保健室行ってきます」

急に立ち上がったAを、俺は無言で見送った

丸「なぁ…仁王…」

ブンちゃんが焦ったように俺の服の裾を引っ張った

…なかなか女子っぽいことするのぅ

仁「なんじゃ」

丸「俺、なんか言っちゃダメなことでも言ったかよぃ…？」

仁「…さぁな」

丸「ちょ、俺謝ってくるぜぃ。仁王も探してくれよぃ！」

授業中にも関わらずそう言ったブンちゃんは、俺の返事も聞かずに廊下へ出て行った

…まあ、しょうがないぜよ

友達の頼みじゃ、探してやらんこともないナリ

俺は、ゆっくりとした足取りで教室を出る

途端に聞こえてくるざわめき

…女子はコワイぜよ

そう思いながら階段を上っていった

Aのあの様子だと正直に保健室には行かないだろう

…きっとブンちゃんが向かっちょるしな

いなかったら昼寝でもしようと考えながら、屋上のドアを開けた

ガチャリと金属の重い音がして、太陽の光が差し込む

眩しいと思いつつ、視線を上げると、そこに信じられない光景が広がっていた

仁「何、やっとるんじゃ」

思わず出た声は、震えてしまう

Aは、やはり屋上にいた

しかし、命を自ら絶てそうな状況にいる

立海の屋上のフェンスは意外と低く、女子でも簡単に登れる

つまり、Aはフェンスの向こう側の僅か30cmほどの幅に立っていた

頭を過ぎったのは、最悪な二文字で

必死に頭の中から追い出した

貴「…いいえ、何も？」

にっこりと笑っていうAに鳥肌がたった

少なくとも俺の目には、死を願っているようにしか映らなかったからだ

仁「…馬鹿なことしちょらんで早うこっちきんしゃい」

いつもよりも若干低い声になっていたかもしれない

俺はAから目を離さないようにして、近づいていく

Aは困ったという風に苦笑いを浮かべてこちらに一歩踏み出そうとした

その時だった

突風が吹き、Aの身体を煽る

ヒヤリと背中に悪寒が駆け抜け、俺は必死に手を伸ばす

そんな俺を見てか、死ねると思ったからか、Aは_____

＿＿＿＿＿＿＿＿笑った

ふうわりと、柔らかに

今まで見たこともない量の、喜びと憂いを表情に載せて

仁「ッッA！！！」

無意識に、

そう無意識に

彼女の名前を呼んでいることに頭の隅で驚いた

そして俺は＿＿＿＿

＿＿＿＿＿＿＿＿A…いや、Aの手を掴んだ