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幸「…ねぇ、Aさん」
貴「はい、なんですか?」
食器を運ぼうと持ち上げた時、精市さんの手があたしの食器を奪っていった
目の前には真剣な表情の皆さん
それを意識した途端、自分の表情が強張ったのがわかった
幸「再来週から、俺たちは跡部の誘った合宿を受ける」
…だから、なんですか?
そう言おうとしたが、自分の意思とは裏腹に口が開くことは無かった
周りから、全員の視線が集まっている事がわかる
幸「…立海テニス部のマネージャーとして、キミを…Aさんを連れて行きたい」
貴「私じゃなくても…いいじゃないですか」
やっと出せた声は震えていた
精市さんは、ため息を吐いて再び口を開く
幸「…言ってるだろう?俺は…俺たちは、A Aという人を誘ってるんだ」
精市さんの言葉に、ぐっと唇を噛み締める
入りたくない…でも、入りたい
グルグルと自分の中に渦巻く感情から目を背けたくなる
違う違う…こんなの私じゃない!
私は人の意見に流されていればいいだけでしょ?
じゃあ___
___あたしは?
あたしは、どんな自分だった?
元気だったっけ?
大人しかったっけ?
こういう時…どうしたんだっけ?
ねぇ、
貴方達の望むA Aという人物は…
どういう人間ですか?
貴「私が…私が。どんな人間だかわかって言ってるんですか?」
ポロリと出た言葉に、自分自身驚く
貴「…すいません…なんでもないです」
すぐに訂正すべく、そう言ってから席を立つ
これ以上この場にいれば、何かいらない事でも言ってしまうそうな自分が怖かった
踵を返し、一旦自室へ向かおうとした
仁「…逃げんじゃなか」
パシっと左腕が掴まれる
掴んだのは雅治で、その表情は固い
グッと腕を引っ張ってみても、抜ける事はなかった
貴「…離して、ください」
仁「嫌じゃ。お前さん、また逃げるナリ」
反論ができなかった
雅治の言う通り、今腕が自由になったなら私はすぐにでも自室に閉じこもることだろう
逃げたい、という気持ちで胸がいっぱいになって、何かが込み上げそうになる
それでも、ここで涙を流したくなかったので必死に平静を装う
仁「確かに、俺らはお前さんの事を分かっておらんかもしれん」
貴「じゃあっ…なんで私なんですか…!」
仁「知りとうと思っちょるからじゃ」
その言葉に、視界が歪んだ気がした
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ひな - 凄く面白いです!読んでくうちに感動して涙が出ました! (2019年3月5日 2時) (レス) id: b401e87431 (このIDを非表示/違反報告)
ばろろん - 仁王希望で! (2015年3月30日 18時) (レス) id: 2ad4b6f1e3 (このIDを非表示/違反報告)
蘭希 - 財前オチがいいです! (2015年3月28日 19時) (レス) id: 09f1b7a4a3 (このIDを非表示/違反報告)
みかりん♪ - 柳さんがいいです! (2015年3月28日 10時) (レス) id: ef8895fc8b (このIDを非表示/違反報告)
ゴマミソ - 柳くんでお願いします! (2015年3月27日 9時) (携帯から) (レス) id: 499e9b52c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:甘夏蜜柑 | 作成日時:2015年2月15日 13時