【テニプリ】とても可愛いお姫様だね

35華 ページ35

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財「…Aさん」


帰りのタクシーの中、光があたしの名前を呼んだ

ジッと光の横顔を見つめて聞いた


貴「なに？」


財「…俺も転校したいっすわ。Aさんの行くところに」


正直、意外だった

こんなことを言ってくれるまで気にかけてくれるなんて


貴「…あたしも光が居れば楽だな」


そういって光に微笑みかける

光は辛そうにあたしを見つめた


財「…テニス部のマネ、続けといてください」


光は急に、そういった


貴「なんで？」


財「…大会とか…練習試合とか、会えるやないですか」


そういってフイッとそっぽを向いた光

じんわりと心が温かくなる


貴「…耳真っ赤だよ？照れちゃった？」


財「うるさいっすわ」


照れ隠しだな、毒舌は


未だに耳が赤い光の頭を撫でる


…こんな可愛い弟欲しいわぁ…癒されたい

…ブラコンになる自信しかないけど


貴「…続けられたらね」


財「…おん」


緩やかな沈黙が流れる


ここ三日間の間で、ゆっくりとできる時間がなかったから、とても落ち着いた


…あたしの事を知っている光が隣にいるからかもしれない




貴「ねぇ、光」


財「…なんですか」




貴「母さんは愛されていたのかなぁ」




光はあたしの問いにどう答えていいのかわからないらしく、難しい顔をした







財「…愛して居らんかったら…子供なんて作りませんわ」







貴「…そっか」


財「Aさんは、望まれとりますよ」


貴「…誰に？」






財「…俺にっすわ」






貴「…ありがとう」




嬉しかった


誰か一人に存在することを望まれていれば、許されているような気がして


光が望んでくれるなら、




あたしはまだ、生きていける

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