【テニプリ】とても可愛いお姫様だね

27華 ページ27

.







__________静寂









貴「ねぇ、母さん」



貴女の頰は、何故こんなに冷たいのですか



貴「独りに…孤独に、耐えられなかった？」



もう、睨んでさえもくれないのですか



貴「…あたしも、たった今…孤独になったよ」



憎まれ口さえ吐き出さないのですか



貴「貴女のせいで」



ねぇ、知ってるんだよ…あたし



貴「あたしなら、」



あたしにキツイ口調で何か言った後、



貴「あたしなら…大丈夫だと思ってる？」



自分の部屋で泣いてたよね



貴「…なんで、ねぇ、なんで」



知らないとでも思ったの



貴「あたしも」



知ってるし、分かってるよ



貴「連れてってくれれば良かったのに…」



ずっと、信じてたこと



貴「首なんか締めちゃって」



ずっと、待ってたこと



貴「苦しかったでしょ」



そして…



貴「もっと、楽な死に方無かったの」



あたしに生きていて欲しいと思ってること



貴「最後まで苦しんでさ…」



知ってるの、だってあたし



貴「…今までありがとう」



貴女の娘だもの



貴「…随分安らかな顔してるもん、これで満足なんでしょ」









あたしは、貴女の娘でよかった









貴「ねぇ、ありがとう」









貴「愛してくれて、ありがとう」









涙が、出なかった









いつか、どこかで聞いた話









.









.









『人は涙を流してから、悲しいことを初めて受け入れられる』









あたしはまだ、母さんの死を受け入れられてはないのかもしれない









カサリと、静寂の中に響く紙の音







それは、









母さんの最後の想いだ









あたしは、









それを一度も見ずに、ポケットの中へ押し込んだ

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