Statice ~linked in the future~ (ページ39)

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医学書を右手に、左手は海晴ちゃんのCTを持ち、見比べる。医学書が重くて持ち方が変だが、仕方ない。

「有栖？なにしてんのあんた」
「んー、イメトレ」

CTを前に手を動かす私を見たみほが怪訝そうな顔をする。そんな顔しないでよ、と私が言うと、相当変な人だよ有栖、と言われた。明日手術なの、とみほに言うと、頑張れと肩を叩かれた。
イメトレも程々に、兄と父の様子を確認に行く。

「A」
「耕作。どう？」
「もうそろそろ一般に移れると思う」
「わかった。耕作、ちょっといい？」

そのまま耕作を医局まで連れてくる。奏ちゃんのことも気になったが、それは置いておいて、海晴ちゃんの手術について話をした。

「やったことあるのか？」
「助手としては入ったことある。自分が執刀するのは初めて」
「そうか…Aなら大丈夫だ。自信を持て」
「ふふ、ありがと」

1番信頼している耕作からの言葉はとても嬉しい。なんだかできる気がしてきた。頑張ろう。と気を引き締めた。

・

(side 藍沢)

「A」

一足先に仕事を終え、医局で俺を待つと言っていた彼女の名を呼ぶ。Aが来ないため、医局を覗き込むとデスクに突っ伏して眠っているAがいた。
小児科の方の手術を任されてから、医学書を呼んだり、手術について調べ物を夜遅くまでしていたため、疲れが出たんだろうと思い、彼女を起こさないように抱き上げた。

「お熱いねぇ、藍沢」
「起きるだろ。お疲れ」

藤川に見つかり、冷やかされたがそのまま車へと運び、助手席に乗せた。気持ちよさそうに眠るAに来ていたジャケットを掛け、そのまま家へと車を発車させた。

「A着いたぞ」
「…ここどこ…」
「家だ。風呂に入ってこい」
「…運んでくれたの？」
「あぁ」
「疲れた顔してる。藤川あたりに見つかったでしょ」

くすりと彼女は笑いながら立ち上がった。よく分かっているな、と俺が言うと、何年の付き合いだと思ってるの？とまた笑った。

・

「海晴ちゃんの為にも、八巻とお姉さんのためにも頑張んなきゃね」
「あぁ、Aなら大丈夫だ」

寝る間際にそんな会話を交わしに眠りについた。

2018/11/01 更新遅れまして、大変申し訳ございませんでした。