Statice ~linked in the future~ (ページ4)

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「はい、翔北救命救急センターです」

耕作が電話を取り、私に目配せする。CS室に目を向けると町田さんが親指を立てたグーサインをしてくれたので、私は耕作に向かって頷いた。そして走り出した。

「現状は？」
「親子のイベントを行っていた最中、風で遊具が飛ばされ、負傷者多数です」

私はドクターヘリへと向かって走っていた。はると名取先生だ。恵から、タッチアンドゴーで耕作と横峯先生、雪村さんが行くと伝えられた。
久しぶりに乗り込んだヘリ。懐かしさと共に使命感が私の中に蘇った。
ヘリが到着し、私は赤タグの男の子の元へ駆け寄った。

「大丈夫？私の声が聞こえたら指握ってみて」

きゅ、と軽く指を握ってくれた。隣にいた緑タッグのお母さん曰く、飛んできた遊具と共に倒れて頭を打ち付けたとのことだった。よく見ると頭の1部が凹んでいる。脳挫傷か、と判断し、搬送しようとした。その瞬間、意識レベルが一気に低下した。

「ここで手術します」
「ここは俺に任せてほかの患者にいけ」
「了解。脳挫傷だと思う」
「あぁ」

耕作なら大丈夫だ。耕作にその子を任せ、私は遊具の横に倒れている女の子に駆け寄った。側に血液混じりの痰があった。その女の子の意識はない。

「肺損傷かな。白石先生聞こえる？」
『どうしたの？有栖先生』
「フェローのこと見てあげて。私と藍沢先生患者にかかりきりだから。とりあえず藍沢先生の方先に搬送して」
『わかったわ』

その子の胸にメスを入れる。思った通り、肺が傷つき出血していた。出血点、どこ。

「有栖先生、これでどうですか？」
「あった。ナイス」

はるのサポートもあり、止血完了。血圧も戻ってきたし、大丈夫そうだ。その子をちょうど来たフェローの横峯先生に搬送するよう伝え、私は別の場所へと向った。

「先生！うちの子を助けて！！」
「今行きます」

泣きながら私にすがりついてきたお母さんの後を追うと、尖った金属片がお腹に刺さっている子が倒れていた。

「…冴島さん、ドクターヘリの順番聞いてもらっていい？」
「はい」
「藍沢先生、聞こえる？」
「なんだ」
「公園側の自販機の所まで来て。搬送はフェローに任せて」
「わかった。今行く。名取！」

挿管していると、耕作が来たので、そのまま2人でその子の様子を確認する。右腹部に金属片が刺さり、貫通している。

「このまま運ぼう」
「家族は？」
「運ばれたんじゃないか」

そのまま私とはる、耕作はヘリに乗り込んだ。