Statice ~linked in the future~ (ページ20)

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「もしもし、私だけど」
「Aから連絡なんて珍しいわね。お見合いのこと？」
「お断りして貰える？あ、ちょっと」

朝、出勤前に耕作の車の中で、お母さんに連絡をする。私が文句を言おうとしたら、耕作にスマホを取られた。

「もしもし？はじめまして。俺はAさんのお付き合いさせて頂いている、藍沢耕作と言います」

口を挟もうとしたら、耕作に目で黙れと言われてしまったので口を閉じる。耕作は結婚を前提に付き合っていること、自分には家族がいないことなど、赤裸々に語った。

「お母さん？」
「お見合いは私からお断りしておくわ。だからそのお見合いの日だった日に、うちにいらっしゃい。もちろん2人でね」
「うん。わかった、ありがとう」
「こちらこそ悪かったわ。藍沢くんAをよろしくね」

電話を終えると、耕作がゆっくりと息を吐きながら車のシートにもたれ掛かった。緊張した、と呟きながら。

「耕作も緊張するんだ」
「お前の親だからな」
「お母さんだからまだいい方じゃない」
「結局会うことになっただろ」

耕作の運転でそのまま病院に向かう。助手席から見る耕作の運転姿は見慣れてはきたものの、かっこいいと思えるのは多分きっと恋の病というやつだと思う。

「そうだ、A」
「ん？」
「俺の緊急連絡先をAの連絡先にしていいか」
「いいよ」

医局に入った瞬間、私は恵とみほとはるに、耕作は藤川にそれぞれ連れていかれた。

「やっと付き合ったの？」
「おっそい」
「おめでとう」

なんで分かるの、と私が聞くと藍沢とAの雰囲気で。と言われた。長年の付き合い怖い。

耕作が自分の緊急連絡先の所に私の連絡先を書いていたことにより、橘先生にもばれ、フェローにも気づかれてしまった。

「有栖先生、あのこっわい藍沢先生のどこがいいんだろ？」
「うーん…」
「無駄話する暇あったら手を動かしてね」
「あ、りす先生」
「横峯先生、藍沢先生根は優しいよ」
「A、余計なことを言うな」

(case3 了)