Statice ~linked in the future~ (ページ15)

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「はい、こちら翔北救命救急センター」
「20代男性、大型トラックと衝突。意識レベル100に落ちました、出血多量です」

ドクターヘリの要請が来た。町田さんが飛べるとグーサインを出した。今日のヘリ担当はみほと名取先生だ。

ドクターヘリが空を飛ぶ。私達も迎え入れる準備をしないと。準備をしている途中、みほから連絡が入った。

「こちら翔北ドクターヘリ。先程の男性の彼女と言う女性が腹痛を訴えて倒れた。ファスト陽性で、腹膜内に液体貯留あり。白車で運んでるから準備しておいて」
「了解」

まずみほとはるが戻ってきた。男性の方はみほとはると藤川と灰谷先生が治療している。私と耕作は白車を迎えに走っていた。

「搬送中意識レベルが2桁に落ちました。搬送中に挿管してきました」
「わかった。移すぞ」
「血圧下がってきてます」

私はメスを取り、お腹にメスを入れる。ファストどおり、腹膜内に血が溜まっていた。

「脾臓やられてる。止血する、クランプ」
「はい」
「…もう1箇所あるね、どこだ」
「胃からも出血してるな、クランプ」

耕作が胃の止血をする。止まった。血圧も回復した。よし。

「縫合頼むね、名取先生。終わったらICUに運んで」
「はい」

真っ赤に染まった手袋を捨てる。男性の方も無事終わったみたいだ。コーヒーを飲みながら、八代さんの資料づくり。意識もハッキリしてるし、食事も取れる。HCUじゃなくて、そのまま一般病棟で大丈夫そうだ。

「おつかれ」
「あぁ」

耕作が私が持ってきた漬物に気付き、私を見たあとひとつ口に運び、うまいな、とひとつ零した。

「それ、お母さんが作った野菜なんだって。この頃家庭菜園が趣味だから」
「そうか。元気そうで何よりだ」
「この頃は結婚しろしか言わないけどね。お見合いしないとか言われちゃって」
「するのか」
「するわけない。知らない人だし」
「そうか」

そのままお互い話さなくなった。なんだか気まずい空気が漂う。コーヒーを飲み終えて、私は医局を出た。

(side 藍沢)

いつも一番近くで、高め合い、競い合ってきたライバルであり、1番大切な存在であるA。
お見合いの話をされ、不覚にも驚き、気まずい雰囲気を作ってしまった。

「どうした藍沢。いつも以上に顔がきついぞ～？相談乗ってやろうか？」
「遠慮しておく」