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二 過去編 吉原 ページ3

生まれて初めて見る豪華な料理が並ぶテーブルの前で二人は向き合っていた

竜 お主 名前はなんと言う

貴 A…です

竜 無理にかしこまるな。

貴 しかしそれではまた怒られてしまいます

竜 この街ではわしがすべてを手にしている。望むものはなんでも手に入れる。わしに刃向かうことは死を意味する

貴 全て…

竜 そう 全てだ。童よお主は何を望む

貴 望むものなんてない。生まれた時からすべて持っていないのだから

竜 フッ それでは主は何の為に生きている?死にたいとは思わないのか

貴 …わからない

竜 わからぬか。ならば教えてやろう主はまだ主の人生に希望を抱いているのだ。どこかで誰かが助けてくれるかもしれぬ。どこかで自分は誰かに愛してもらえるかもしれぬと

貴 …

竜 無駄だ小童。この街では誰も主を助けてくれるやつなどおらぬ。もちろんわしを含めてな

貴 そうだな。わかっている

そう言ったAの目は少し揺らいだ

竜 昔 わしの子を身ごもった女がいた。無論知られれば殺される。その女は子を産み、なかったことにする為に田舎に住む自分の姉に子を預けて死んだと言う。童よわかるか?

貴 なんの話だ

竜 主が今一番欲しいものは自由であろう?本気で手に入れたいと思うのなら死ぬ覚悟を持って己自身で手に入れねばならぬのだ。

そう言って竜泉は立ち上がった

竜 明日の夜が更けた頃。遊女が脱走するであろう。

貴 おっさん…まさか!!

竜 飯を食ったら元の場に戻れ。

そう言うと竜泉は去っていってしまった

三 過去篇 吉原→←一 過去編 吉原



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作成日時:2020年8月13日 21時

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