迷惑な幽霊に取りつかれてます。【ｄ！】 (ページ3)

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第一話ページ3

いつものように仕事を終わらせて徒歩で自宅に帰る。
こんなしがない音楽ちょっとかじってる人間でも家が医療家系だったらそこそこ
大きい屋敷に住むことができて人生不平等だよなー、って思う。
親には感謝してるけど、正直言っていらない。
迷う。

『家帰ったら新しい機材でも見るかぁ』

独り寒空の下そうやって呟くと、白い息が闇に覆われた空中へと吸い込まれていく。
こつん、こつんとなる自分の足音をBGMにしながらのんきに歩いていると、
目の先にあるバス停に男の人がいるのが見えた。

綺麗な金髪に蒼い空のような瞳をした彼。
身長は高く、鼻筋も通っていて普通にイケメン。友達の愛華に見せたら発狂しそう。
と思いつつ歩いていると、イケメンがこちらを見た。
ちょうど目が合ってしまった瞬間、私の本能が最大限の警報をならす。

(やべぇ、こいつこっちの人間じゃない)

目が合ってしまったことで内心パニック状態だが、それを悟られぬように
表情筋一つ動かさず真横を通り過ぎる。
私は昔から幽霊が見える体質で、幼いころからこの世界には
人ならざらぬものがいることを祖母や両親から伝えられていた。

実際見えるし、皆も見えるのが普通だと思っていた時期もある。
私の場合、霊力が強くはっきりくっきりと見えてしまうので人かそうでないかは
ふつうに分別しにくいため、その時の周りの環境によって考えたり、
感で見極めたりしているが、完全に今回は油断した。

イケメソめ…一生恨む

どうかついてきませんよーに、と祈りを込めながら通り過ぎると、
後ろから声が聞こえた。

？「なぁ！お前さん見えてるやろ？」

流暢に関西弁を喋るイケメソを無視してそのまま歩みを止める
ことなく立ち去ろうとする。

？「なぁ！ここどこなん？！教えてくれへんか！！俺の仲間知らん？」

しるか、と内心思いながらひたすらムシムシ。
ここで答えてしまったら面倒なことになりかねん。

此奴からは悪霊の気は感じられないが、
それでも人ならざらぬモノであるのは間違いないと確信した私が歩みを止めるはずもなく。

？「なぁ！無視しんといてや！！
　ここどこや！！！」

…うるさ。
ふつうにうるさいんだけど、、え？何？残念なイケメソくん早くどっか行ってくれない？
どこまでついてくんの？

ひたすら無視を決め込んでもずっとついてくるイケメソ幽霊に、
若干引くという感情を覚える。

早くどっか行ってくれない？