日本のメシはうめぇ ページ40
3月に入ると稽古で死ぬとの事で、急遽2月の最終日にねじ込まれたご飯会。去年の11月からスケジュールを空けておいた用意周到さには脱帽しかありません。あれ、日本語が下手になったな。
「うっっっま、なんだこれ」
「前に来たときは即寝てたから分からなかったけど帆乃ちゃんって意外とたくさん食べるんだね」
「人生において食わなきゃ損でしょ」
「戦国時代の人？ 」
帆乃花の強い希望で前にも来た焼肉屋さん。店員さんがいつもありがとうございますって言ってたからあの日以降御用達になったのだろう。私誘われてないんですけど。
「いや〜、ラウも世界の男か〜！！ 」
「どしたの、オッサンみたいだよ帆乃ちゃん」
「気にしないで。久しぶりの日本のご飯にテンション上がってるだけだから」
「Aちゃんは逆になんでそんなに普通なんや……」
隣で白飯二杯目をかき込む帆乃花みたいに胃が強いわけでも若い年齢でもないから、脂っこいものはちょっと無理。タンにレモンしか勝たん。
「A、馬刺しあるって」
「いや、私、馬刺しは会津でしか食べないって決めてるから」
「会津？ 」
「大学時代の親友の地元が福島なの。一回遊びにいったときに食べた馬刺しがすんごく美味しくてさ」
福島は桃だけじゃないんやぞ！って熱弁されたのをよく覚えている。彼女と話すと訛りが移るから早く治そうと必死だったな。留学中も頻繁に連絡取り合ってたから近々遊びに行きたい。
「ニューヨークでは毎日どんな感じだったの？ 」
「午前中は丸々学校で午後はレッスンかな。稽古前は日曜日が丸一日お休みだった」
「学校では演技の勉強だけ？ 」
「いや、ミュージカルクラスだったから歌とダンスもやってた」
「うわぁ……大変だ……」
「帆乃花はどうなの？ 」
「私は万葵を送ったあと、語学学校に午前中行って、午後は万葵の迎えに行くまで家でお仕事してた。家事もその時にやってたかなぁ」
「向こうでも仕事はあったんだ」
「そりゃあるよ！ 仕事しますよっていうビザ持ってないからお断りの電話とか、帰国後の仕事のスケジューリングとかさ。」
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作者名：風呂 | 作成日時：2023年1月18日 21時
