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フィナーレを飾るのは ページ20
今日は何も起きなかった。
そもそも、元凶がいなかったのだ。
「アンナ、退学だって。一体何したんだよ……」
「ヒロイン役はどうするの？ あと一週間しかないんだよ？ 」
「ここまで頑張ってきたのに……全部台無しじゃねぇか！ 」
もはやレッスンどころの騒ぎではなかった。
総合監督が言うには、アンナは強制退学になり、Kは自主退職。
アンナはもうここに来ることはないが、Kは今日が最後の勤務日らしく、丸一日オフィスにいるのだという。
講師の話を聞き終える前に、私は走った。
別校舎の、やけに遠いオフィスまで、私の出せる全速力で。
これは全てKの仕業だと私の勘がそう言っていたから。
アイツに、どうしてこんなことをしたのか聞き出さないといけない。それが今の私がやらなくちゃいけないことだと、それだけは分かった。
「、どういうつもり」
「おい、まだレッスンの時間じゃないぞ」
「質問に答えて。アンナのこと、あんたの仕業でしょう」
ダンボールの積み上がったテーブル。本当にKがここを去るのだと、現実を突きつけられた。
「俺は、してはいけないことをしちまったんだよ、」
「……犯罪でも犯したわけ」
「違う。俺がするわけないだろ、そんな馬鹿みてえなこと」
椅子のキャスターをコロコロ転がしながらKは話す。彼の言うことはいまいちよく分からない。
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作者名：風呂 | 作成日時：2023年1月18日 21時
