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憧れのキャンパスライフは辛いこともあったけど楽しいことの方が多かった。専門知識を学んで、好きな絵を授業の一環として習うなんて、私が夢見ていた環境だったから。レポートや課題はぶっ倒れそうになるくらいしんどいけど、それでも大学は楽しかった。
「あ゛ー、悔しい。なんでアイツの言いなりになってたんだって自分に腹が立つ。自分の人生に他人が口出しする権利なんてあるはず無かったのに。」
弟と違って、私は相手の意見に反論することが苦手。相手も相手で私のことを思って言ってくれてるんだろうなって考えてしまって、なんだか申し訳なくなるから。でも、一概にみんながみんな、そんな優しい訳でもないってことをあの時の私は全く理解してなかった。
「こんなこと、ズルズル引きずるものでもないのは分かってるんだけど、……難しいなぁ、」
「……Aちゃんが難しいなら、俺にはすっごく難しいよ」
「…んふふ、それはそうか」
「ただ俺が思うのは、…Aちゃんは間違ってないってこと」
「…………ありがとう」
「――今日はこのくらいかな、……あれ、もうこんな時間」
「わ、ほんとだ。遅くまでごめん、」
「私も勉強は嫌いじゃないし、ガス抜きみたいな感じだから全然気にしないで」
机上にはボールペンと色ペン、そして二人分の筆跡で埋まったメモ。途中でご飯を食べたり、おまけにスイーツのプリンまで食べたりしながらも、しっかり三時間くらい勉強会をしていたらしい。おかげで腰がバキバキだ。
「いつも通りメモはあげるよ、少しでも役に立てばいいんだけど」
「Aちゃんとやったところは不思議なくらいよく問題に出るから、毎回助かってるよ」
「んふふ、なら良かった」
「また時間がある時によろしくお願いします」
「いつでも誘ってね」
帰り支度をしている間、いつの間にかお会計が終わっていた。急にスマートになるのやめなよ、心臓に悪すぎるって。
そうして私たちはバラバラに店を出た。翔太によろしくって言われたけど、私たち毎日会ってるわけじゃないよ、阿部ちゃん。逆によろしくするのは私の方だと思う。
「お、おかえり」
「…………そーいうことか…」
「え、何が」
「阿部ちゃんによろしく言っといて」
「は？ 」
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作者名：風呂 | 作成日時：2023年1月29日 15時
