・ ページ35
「次は“サギソウ”ね、これも問題に出たの？ 」
「蜜の場所を選べって言う問題で間違えちゃった」
「意地悪だねぇ……ちなみにどこのシンボル花か分かる？ 」
「世田谷区と姫路市」
「うっわ…」
「引かないでよ！？ 」
「名前の由来は見たまんま、白鷺にすごく似てるから。英名の“イーグレット・フラワー”も白鷺って意味」
「やっぱりそうなんだ……」
「花の香りがあんまりしなくて4日くらいで枯れてしまうことでも有名だよ」
「……香りがしないっていうのは花弁が細いから？ 」
「中にはちゃんといい香りのする花もあるから、そこら辺は私もあんまり理解出来てないの」
「なるほど…時間によって匂いの強さは変わったりする？ 」
「んふふ、流石。サギソウは夜になると香りが強くなることがあるの。花粉を助けてくれるのが“ガ”だからね。」
「ガ……夜行性だからか…！ 」
「生徒が賢すぎるな」
花の形がきれいで、人目でいいから見てみたいなって今でも思ってる。時間が無くて見に行けてないけど、その時は阿部ちゃんも誘ってみようかな。いい勉強にも息抜きにもなりそうだし。
「花粉といえばさ、私も花粉症なんだけどくしゃみはでないんだよね」
「へぇ〜、珍しいね？ 」
「その代わり目と喉がヤバい」
「病院に行ったりしてるの？ 」
「目薬と飲み薬なら貰ってるけど、まぁ、それでもしんどいよね」
「俺もこの時期は喉のケアを入念にしてるなぁ、本番に声が出なきゃダメだからね」
「わー、舞台もあるから大変だ、今度翔太に差し入れ持たせるね」
「あはは、ありがとう」
「この後も稽古？ 」
「うん、そう」
「……みんな成長したね」
「どしたの、急に」
「康二くんとかさ、最初は頭がパンクしたりしてたけど、今は座長として先頭で引っ張ってるんだもんな」
「あはは、あの時は流石に色んなことが重なりすぎてたからね、しょうがないと思うよ」
「みんなよく頑張ってる。凄いなぁ、ほんと」
「、Aちゃんだってさ、翔太以外に俺らのこともよく気にかけてくれて、ほんとにありがたかったよ」
「話を聞くくらいしか出来てなかったけどね」
「それだけでも俺らは助かってたんだよ」
「…………今から話すのは思い出話だから、あんまり重く受け止めないでね、」
「うん」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 612人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：風呂 | 作成日時：2023年1月29日 15時
