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それから数日間、何事も無かったかのように過ごした。普通に会社へ行き、普通に家へ帰り、普通に寝る。竈門さんからの連絡は来ていたけれど既読は付けず番号を変えた。
LINEも一回消したし、さすがに家はバレてないと思うからこれでようやく平和な日常が戻るはず……
「連絡取れないから、心配して来ちゃいました」
だったよね!?なのになんでいるの!?ここ会社!上司と会ったらどうするの、とんでもないことになる!!
にっこり笑顔を浮かべて、数日前と同じように笑う彼はやっぱり色っぽい。黒のハイネックが死ぬほど似合ってて、シンプルなのにいい服に見えるくらい。
なんで会社知ってるのとかわざわざ来る理由とか前の首の跡についてとかその他諸々聞きたい事は死ぬほどあったけど、とりあえず場所は移動しなくては。
「とりあえず、ご飯でもどうですか」
負けじと笑顔を浮かべてそう言うと、私なんかよりも何倍も綺麗な笑顔で「ハイ!」と手を引いて歩き出した。
そしてそのまま引っ張られていき、気付けばお高そうなお店に連れていかれた。なんだかレベルが違くて、そういえば竈門さんの家大きかったからお金持ちだっけ。
まあ、この前給料日だったし…と気を入れ直す。
慣れているらしい彼は苦手なものはあるかと尋ねてきて答えると、スマートになにかのコースを注文してくれた。もうわたくしカタカナ多くてなにがなんだかわかりません。
「…それで、どうしたんですか?」
「え、っと、あの」
「まあ、考えてる事は大方分かります」
そう言った竈門さんの顔がどうしてか悲しそうで、罪悪感で胸がぎゅっとなってしま…いやいや待て、騙されるな!
頭の中で警報がガンガン鳴り響いて、危なかった。甘いマスクに惑わされちゃ駄目だ、このスマートさや顔にきっと何人も騙されてきたハズ。二度はないぞ私!
「あんな事があって警戒もしますよね」
こういう手口か?と思わせるくらいに上手い。
いかんいかん流されるな…と思っていると、向かい合わせに座っていた彼がお上品なテーブルの上にある私の手を握ってきた。ひぇ、と変な声が出て微笑まれる。
「急になんて思ってません。ちゃんと段階を踏んで、」
「っえ、あの、竈門さん…?」
何か噛み合ってないな…?と止める。
当の本人はきょとん、とした後にああ!と何かを思い出したように手をぽんと叩く。
「まだ言ってませんでしたね」
「……なにを?」
「俺と付き合ってください」
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みっつー - 何飲ませたんやろ…怖い怖い (2020年12月25日 12時) (レス) id: ac26435f9a (このIDを非表示/違反報告)
殿ォ! - やべぇ炭治朗こえぇ、、、勉強終わんねぇよぉ。助けてぇぇたぁんじろぉー! (2020年10月15日 18時) (レス) id: 5c5bcab0c3 (このIDを非表示/違反報告)
如月 哀華 - 何を入れたのか?とんでもねぇ炭治郎よ… (2020年6月2日 15時) (レス) id: 76720d9193 (このIDを非表示/違反報告)
レモンティー - 大福もちもち それな\(°д°\)え、何?アレですか?あの“び”から始まって“く”で終わるヤツですか??…応援してます!!(^ ^)←文章能力低め (2020年6月1日 21時) (レス) id: 0820e3db89 (このIDを非表示/違反報告)
大福もちもち(プロフ) - 口に何を入れたんだ?炭治朗 (2020年5月28日 2時) (レス) id: 1aea6c2a36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すばる | 作成日時:2020年5月11日 22時