【ONEPIECE】命短し恋せよ乙女 (ページ10)

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｢俺もうダメだー!!笑い死んじまう！｣
｢それならこれはどぅーだ！｣
｢ぶはははは！こっち見んじゃねぇルフィ！｣
ウソップに投げ飛ばされたルフィは軽くバウンドしてソフィアの前へと滑りでてきた。

｢とうだ？ソフィア！おもしれぇか!?｣
目に涙を浮かべこちらに笑いかけるルフィを見てソフィア自体も己の内側の変化を感じていた。

彼女は知りたい欲はあれども知る術もなく、見たことの無い世も知らず、知識以外を与えてくれる誰かもいなかった。

でも今は騒ぐ彼らを見ているとしょうもなくて、くだらなくて。
そうだ、こんな時にきっと愉快だ楽しいって言うべきなのね、と

｢…ええ、ルフィ、私分かったわ。きっとこれが面白いって思うことなのね。ほら、今私の気持ちに名前が…｣

言葉は知っていた。その言葉をどんな時に使うのかも。
でも気持ちはいつだってついてこなかった。

それでも今は、今は私の気持ちを表現する言葉として、私の言葉として使える。
生まれて初めて感情と言の葉が合わさった感覚。

人はこの気持ちをなんというだろう
知らないものが溢れているのをひしひしと感じる。
ああ、ルフィ
そしてこれが喜びね

｢気持ちが知れて私今とても嬉しいんだわ｣

｢うーん、今お前が何言ってるのかはよくわかんねぇけど嬉しいんならそれでいいな！｣

思わず胸に手を当て、もう一度まだ騒ぐ2人とこちらを覗き込むルフィを見上げてみればこころなしか輝いて見える

｢お、ソフィア！お前笑えんじゃねぇかよ！｣
｢なにー？ホントか、ソフィア!!｣

目が合ったウソップとチョッパーは驚きながらも笑顔をくれ、そう言われてむた初めて気づいた。
瞼と、唇以外が動いたのも初めてで、意外と私は自分の表情変化に疎いのだと。

いやでもこれこそ自然に笑うということなのねとやはり喜びが大きく勝る感覚をソフィアはゾクゾクと感じ、初めての高揚感はなかなか収まりそうになかった。

｢そりゃいいじゃねぇか！ソフィア!もっと笑え！｣

にっ、と再びこちらへ笑いかけた船長に答えるように3人が笑い疲れる頃にはソフィアはもう感情を知らぬ人ではなくなっていた。