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一瞬、新しい感情を得ることに怯む気持ちがソフィアの胸を逆撫でした。
ロビンの過去は事実としてしか知らない。故に彼女が感じてきた感情は知ることは出来ない。が、しかし自分がもし似た気持ちを手に入れたとき自分の運命を恨まずにいられるのだろうか。
まだ一味には話していない人造人間としての運命を。
｢…またひとつ分かったわ、ロビン｣
｢何がかしら｣
｢これが不安と小さな恐怖なのねってこと｣
｢不安？｣
出会えてよかったと喜びを抱くのは私も同じ…と心底幸せそうな先程のロビンを見て感じた感情。それへソフィアはポツリと疑問を漏らす。
｢…私もいつか、たくさんの感情を手に入れたら……この世界を呪うのかしら。｣
一瞬眉が上に動いたロビンだったが真っ直ぐに穏やかな顔でソフィアの目を見つめた。
｢……それは分からないわ。でも、ルフィと居るならきっと大丈夫。彼はいつだって私の希望……。そしてあなたの道しるべになってくれるはずだから｣
｢そういうものかしら。｣
｢ええ、信じて。｣
そう言われて不思議と落ち着いたソフィアは満足そうに目を閉じた。
人の心とはなんて忙しいものなんだろう。
何か一つ感じればポンポンと余計な思いが繋がってゼロだった心が変に騒ぐなんて。
でもしかし、悪くないなと思ったのだ。
夢なんて見たことは無いけれどこんな時に使う言葉は………
｢ありがとう、ロビン。今夜はいい夢みれそうだわ｣
ソフィアは体を起こしてそのまま立ち上がる。
｢ふふ、そうね。素敵な夢が見られるといいわね。｣
ほら、そろそろ寝なくちゃ宴が開かれて眠れなくなってしまうわ。と同じく立ち上がったロビンの後ろにソフィアも続いた。
｢それは困るわ。さすがに少し気持ちが疲れたんだもの｣
｢そうね。だからゆっくり眠って、明日からあなたのこと色々教えてくれないかしら。｣
｢ええ、もちろん。｣
兄弟が、姉妹がいたとするなら。
こんな感じだろうかと思えずにいられなかった。
歩きながらまた新たな気持ちとの出会いを実感したソフィアだったが、もう今日は考えることを辞めてしまいたかった。
いつか来るつらさを学ぶのができるだけ遠くでどうせなら知らぬまま朽ちたいと願った。
それから、出来ることならまだ知らぬ｢辛さ｣から主を守れますようにとも。
まだ少し騒がしい船内に挨拶を告げ、ソフィアはこと切れるかのように眠りについた。
｢おやすみ、世界｣と呟いて。
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作者名：ロア | 作成日時：2019年8月11日 15時
