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サンジに急かされ、風呂の日だということで悪態つきつつ浴場へ3人が向かった後もソフィアは1人船の真ん中で微かに微笑み、｢初めて｣の数々の余韻に浸り…まるで人間の少女のように芝生に寝転んで星空を眺めていた。
｢夜を素敵に思うのは綺麗って思ってるってこと｣
｢風がなびくのを感じて一息つくのは心地いい証拠｣
｢今日だけで喜びを感じて他に目を向けられるようになってワクワクするのは嬉しいってこと…｣
まだ表情は少し固く、信じられずにいる気持ちも感じてはいたが彼女は喜びがどんなものかを教えてくれた一味の優しさを噛み締めてまた喜びで心が満たされるといった喜びのループにひたっていたのだった。
｢ソフィア、そろそろ寝る支度をしたらどう？今日は疲れたでしょうから｣
いきなり声をかけられ、ソフィアが首を動かして見回すとずいぶん雰囲気が変わったわね、と微笑むニコ・ロビンが逆さまに見えた。
｢…ニコ・ロビン｣
｢ロビンでいいわ。私はあなたに興味があって｣
｢私もあなた達に興味があるわ。今、私、喜びを感じるのが止まらないの。こんなに嬉しいことを人は感じていたんだってしれてまた嬉しいの。あなた達にあえて、教えてもらえて嬉しいの。｣
｢あらあら、ふふ。随分お喋りにもなったわね。でも分かるわ。私も彼らに救われたんだもの。｣
｢…ロビンも、喜びを知ったのは最近なの？｣
｢いいえ、幼い頃から知っていたわ。でも忘れてしまうほど辛かったのよ…。人は喜びだけが感情じゃないってことは知ってるでしょう？｣
ソフィアの隣に座ったロビンは過去を慈しむかのように地平線を眺めて語った。
あの頃のロビンが微かな希望と執念で生きて、消えた途端に死んでも構わないと願ってあの場で死のうとしたことを思い出す。
たった2年と少し前のことなのに人はやはりどう変わるかなんてわからない。
｢何もかも見えなくなって世界を呪ったわ。それでも、真っ暗じゃないって、ひとりじゃないって私を救い出してくれたのはここのみんなだったのよ。｣
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作者名：ロア | 作成日時：2019年8月11日 15時
