僕だけのラプンツェル -Daiki.A-

◆28 ページ30

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久しぶりに来た彼の家。


案外ケロッとしていて普通にリビングに案内された








慧｢で、二人できたって言うのはそういうこと？｣

大貴｢そういうこと｣

慧｢ふうん、｣








外で見る彼とは全く違う冷たい目線で私を捉えた

嫌な感情と記憶が蘇るようで、ぶるっと震える



私の方をチラリと見た大貴が震えていた手を握ってくれた。









大貴｢俺は、悲しませたりしない｣

慧｢…｣

大貴｢知ってたと思うけど、俺はずっとAのことが好きだった｣







改めて知る、大貴の感情。

ぎゅっと握る力が強くなった








大貴｢お前なら、いのちゃんになら、任せられると思ったから諦めたんだ。｣

慧｢…、｣







慧はずっと黙っていた

感情が読み取れない顔で、俯いていた。








大貴｢だから、今度は俺がもらう｣

慧｢俺は、っ｣






小さく口を動かした。

ぽたり、と俯いた顔から光る雫が落ちていく。








慧｢Aのことは、本当に好きだった｣

大貴｢…じゃあなんで！｣






勢いよく顔を上げた大貴

憤っているのが伝わって怖かった







慧｢わからない、…から、だから。｣







涙で濡れた慧の瞳が私と大貴を見つめた。

顔を精一杯歪ませて、苦しそうに言葉を紡いだ。














慧｢今度は、大ちゃんが幸せにしてあげて…｣

大貴｢っ、｣












すべて諦めたような顔を、慧は私達に向けた

浮気したことへの後悔、新しく芽生える私と大貴との関係への祝福。



全てが複雑に、混じっていたようだった。










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