【刀剣乱舞】貴方が其れを望むなら (ページ1)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:1,487 hit

一つ目の噺ページ1

二二〇五年、歴史修正主義者の八億四○○○万もの軍勢との戦いに、時の政府も慣れてきた頃。
無理な出陣、刀剣男士のストレスになるような夜伽などを繰り返す、所謂ブラック本丸の対処という問題が政府に降りかかってきた。現世から繋がりを許されず、常に敵の行動を見張り、仕事づくめで気が可笑しくなるのも分からなくは無いが、今の我々に余裕はない。なんせ、ただでさえ不利な戦いであるのに、仲間割れなんぞしている暇は無いのだ。兎に角、政府はブラック本丸と疑わしき本丸を片っ端から炙り出し、その審神者を現世に追い返した。今、この状況で、プラスどころかマイナスを生み出す無能は要らぬ、と。だがしかし、こちらが減らしても、またブラック本丸は増えていく。
キリが無いと察した時の政府は、これ以上増えぬようにするにはどうするべきか考えた。語り掛けても仕方がない。もっと、もっと合理的な方法を……。悩みに悩んだその時、誰かが閃いた。
＂刀剣男士を審神者にしてしまえばいいのでは。＂現場は満場一致で話が進み、一体どの刀剣男士にするのか議論が進んだ。へし切長谷部はどうだ。いいや、彼はどちらかというと仕える側の性格だ。主としては向いていない。では山姥切国広は。悪くはないが、いつもの卑屈で断る可能性が高い。

「そうして選ばれたのが僕、ってことだよね。」
「はい。詳しい事は申し上げることが出来ませんが。」

大和守安定は、己に任された課題に頭を抱える。歴史を守るため、刀剣男士として顕現したはずなのに、そこは本丸の畳の上ではなく、政府の一室だった。何が何だか分からぬまま、政府の役人にお座り下さいと言われ、言われるがままあれよあれよと流された結果が今だ。自分は刀で、この手で敵を斬ることが仕事だと思っていたこともあり、複雑な部分もそれなりにあるが、仕方のないことなのかもとも思っている。話を聞くと、折れなければ出陣しても良いとのことなので、一度も刀を抜刀せず
戦いを終える、ということはなさそうだ。ほっ、としつつ、審神者としての知識の無い自分は、今後どうすればいいのか聞かなければならない。

「それで、これからどうすればいいの。」
「まず初期刀を選んでいただくことから始まります。」
「僕が選ぶのか。何だか変な感じだ。」

少し不思議に思う所もあるが、安定は、政府の役人が出した五振の刀に注目する。その中に、見覚えのある刀を見つめた。

「清光…？」