#85 容易い気持ち、本物の想い ページ38
Okita-side
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空がオレンジ色になった頃、アホを家から追い出して面倒ながらも送ってやった。そして帰宅後、もう薄暗くなり始めた部屋に明かりも付けず、俺はベットに横たわり、天井を見上げる。
テレビも付けないで、静かな部屋。さっきまでうるさいほどの声に満たされていた時と、同じ部屋に思えないほど。
――――なぁにやってんだ俺ァ・・・・。
キスとか。アホらしい。
まぁ、実はの話初めてなわけじゃないんだけれども。
ふと蘇った記憶に、自嘲するように薄く笑った。ゴロ、と寝返りをうつとベットのすぐ傍にある引き出しの取っ手に手を伸ばし、中にあった昔使っていた携帯を取り出す。解約したものの、写真などは全部残っていて、なんとなく捨てられずにいる。
別に思い出があるわけじゃない、大事なデータがあるわけでもない。多分ただ、面倒なだけだろう。
「うわぁ・・」
アルバムの中には、昔付き合っていた女の写真。こんな奴いたなーなんてぼんやりとした記憶もあれば、顔を見ても全く思い出せないものも。
それほど、俺の気持ちは容易いものだったのだろう。
―――・・・多分、好きなんかじゃなかった。なんとなくで付き合ってた、いわば遊び。
くだらね、なんてぽつりと零した時鳴ったのは今使っている方の携帯。上半身だけ起き上がって画面を見てみると、AからLINEでのメッセージ。
"オッキーもっかい愛してるって言って!!そしたら私課題頑張れる!"
思わずクスと笑ってアホか、なんて。
"もう二度と言わねーよ"
"えぇ〜!せめて好きくらい・・・"
"好き"なんて、"愛してる"なんて、今まで数え切れないほど口に出してきた。簡単だった、言葉にするなんてこと。
でも今はできない。言おうとしたら裏返しになってしまう。これが本当の"好き"っつー想い、だと思う。多分。・・・あ、俺今すげェ気持ち悪い。
"私は好きだよーだからオッキーも言ってー!"
"寝るわ"
逃げるようにそう返して電源を切った。
たった二文字、しかも文字にさえ表せないなんて。
「・・っとにやってらんねー・・・」
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御影沙羅(プロフ) - これからも、頑張って下さい!!応援してます! (2015年1月29日 20時) (レス) id: efba3898be (このIDを非表示/違反報告)
栗兎(プロフ) - 御影沙羅さん» 涙してくれたなんて嬉しすぎます・・・・!!・゚・(ノД`)・゚・ ありがとうございます!これからもよろしくお願い致します(*´∀`*) (2015年1月29日 20時) (レス) id: 199452a05e (このIDを非表示/違反報告)
御影沙羅(プロフ) - 何でかわからないけど54話ぐらいから、涙があふれてきてとまらないよぉぉぉ〜!!(涙) (2015年1月27日 22時) (レス) id: efba3898be (このIDを非表示/違反報告)
栗兎(プロフ) - 美咲さん» そそそ、そうですか!?:(;゙゚'ω゚'): そう言って頂けて嬉しいです(*ノωノ) これからもカッコいい沖田くんがかけるよう頑張りますね! (2015年1月23日 20時) (レス) id: cf9d2254e9 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - あぁ…本当に素敵だと思います。この小説。ドキドキするしキュンキュンする。 (2015年1月23日 20時) (レス) id: 03b867affd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:栗兎 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kuri-Rito/
作成日時:2015年1月6日 16時