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隣を歩く横顔をちらりと盗み見る。
意外と彫りの深い顔と喉元に浮かぶ男の象徴は、傾き始めた太陽に照らされて、美しいシルエットを映していた。
転校してきたばかりの頃、都会から来た、という理由で囃し立てられていた薮だったけれど、それを抜きにしたって薮は格好よかった。
俺達の前を歩く男が着ている深い紺色のシンプルな浴衣は、細身で背の高い彼が着たらきっと様になるだろうと思った。
同時に、その隣の彼女が着ているアサガオが鮮やかな浴衣は、どうやったって俺には似合わないということも。
「なあ、俺、りんご飴食べたい」
薮が指さした先の屋台には、わらわらと小さな子供達が集まっていた。
真っ赤なりんご飴がずらりと並んで、照明に照らされている。
俺も小学生の時に買ったことがある。
じゃんけんで勝ったら、2個貰えるから手で穴を作って覗いたりしたっけ。
「あのね、薮、りんご飴先に買ったらしばらく何も食べられないでしょ？こういうのはたこ焼きからって相場が決まってんの」
「はは、さすがだな」
どれもこれも大ちゃんからの受け売りだけど。
飴は舐めきるのに時間がかかるからね！と言っていた得意げな顔を思い出す。
ありがと大ちゃん。
「ぼーっとしてたらはぐれちゃうよ」
「あ、ごめん」
いくらの背の高い薮でも、この人混みの中ではぐれてしまったら簡単には見つけられないだろう。
見え隠れする薮の背中を必死に追った。
「伊野尾、あったよ！たこ焼き」
テンションが上がった薮は子供みたいだ。
ぐい、と手を引かれて人並みから1歩外れる。
むわむわ、ほわほわ
蒸し暑くて不快なことこの上ないのに、薮とふたりでこんな風にお祭りに参加出来ているのが夢みたいで、幸せだ。
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続く (更新停止中)
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