53話 声 ページ16
ありさside
外に出た
わけも分からないまま、走って走って
着いたのはただの木の下で、そっと座る
ありさ 「毎年の恒例行事化してない……？」
この喧嘩に意味はない
そんなこととっくに分かってるし、別にやりたくてやってるわけじゃないし。
ただ、相性が合わない時があるだけ。
元々、昔からそうだから。
ゆづきちゃんと一晃は、ゆづきちゃんが文句言っても、それに合わせるのが一晃
私と莉琥はよく意見が食い違ったり、合わない時が毎年ある
それでも、それがあるから、毎年成功するけれど
今年は私が悪いとは思う、思ってはいる
でも全部が全部私のせいって訳でもない
いつもはどちらかが謝って解決するけれど、今回ばかりはAちゃん絡みだし。
それをわかっているくせに、そうやって嫌がらせするようにするから、莉琥のことは嫌い
ありさ 「ほんっと、嫌い。」
莉琥 「俺もー。」
不意に後ろから声が聞こえた
今、1番、会いたくない人
今、1番、声を聞きたくない人
莉琥 「俺もお前のこと嫌い。意見合わないし。」
ありさ 「……人の言ってること聞こうとしないし。」
莉琥 「勝手にぜーんぶ、決めちゃってさ」
ありさ 「会議にも出ないくせに文句は多いし」
莉琥 「……でも受け入れてくれる」
ありさ 「その文句がほとんど正しいから。」
莉琥 「俺、謝んないから。」
ありさ 「私も。」
でもね？
わかってる
莉琥 「ごめん」
ありさ 「ごめん」
莉琥 「もっと周り見るから。お前の嫌なことしないように努力する。」
ありさ 「私、束縛はしたくない。莉琥は莉琥だから。思うように暴れればいいよ。ストッパーくらいはかけてあげるから。」
分かってないようで、分かりあってるんだ
私たちは。
莉琥 「オレと舞台に立ち続けてくれる？」
そんなの。
ありさ 「私しか出来ないじゃん。」
ﾄﾝﾄﾝ
肩を叩かれたから、後ろをそっと振り返る
莉琥 「知ってる！」
私が今、1番聞きたい声が聞こえた
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作者名：心亜 | 作成日時：2019年3月9日 18時
