お願い、早く私の首を切って [完]

16話 ページ18

「それは正気か、A」



返ってきた言葉は鋭くとても冷たかった


煉獄さんの目は殺気が混じっていて今にでも私に斬りかかってきそうな


とても恐ろしい目を私に向けている


今まで鬼にしか向けなかった目を私に向けていた



煉獄さんは鬼を憎んでいる

仕方ない事 だって今の私は人を喰い殺す鬼


もう貴方の隣に並んで歩く事も一緒に笑ったり、添い遂げることも出来ない



あぁ、なんで、、




何でこうなってしまったんだろう



「っ、、、」


目の奥が熱くなり涙が零れ落ちる


「煉獄さ、ん ごめんなさ、いっ、、、！」


私の口から漏れたのは謝罪の言葉だった


泣きじゃくる私を見て煉獄さんは目を見開く
先程の殺気混じりの目で私を見ていた煉獄さんの目は段々と悲しいものになる



煉獄さんはゆっくり私の方に歩み寄り、私の身体を優しく包み込んだ

ふわりと煉獄さんの匂いが鼻につく


暖かくて、陽だまりみたいで

とても落ち着く




「、、、っ」


煉獄さんは何も言わずただ震えていた


「煉獄さ、ん、、、」

私は鬼になり変わり果てた腕でそっと煉獄さんに腕を回す


「A、、、っ」



煉獄さんは震える声で私の名前を呼んだ





気が付くと私の肩は煉獄さんの涙で濡れていた


煉獄さんは泣いていた


私の為に泣いてくれていた


そんな私達を横で見ていた千寿郎君も大粒の涙を流していたのが見えた

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