12年前の元彼は私を見てくれない【松野千冬】

episode44 ページ45

出来ればもう会いたくなかった



会ってしまうと私は駄目になる


どうして、千冬は度々私の目の前に現れるの？


もう、やめてよ


万次郎君と千冬が話している
2人の話の内容なんてちっとも耳に入ってこない


私の心臓の音だけが煩く聞こえてくる



時折笑う千冬の姿が未来の千冬の姿と重なって見える


ーー「A」ーーー



私の名前を呼ぶ千冬の姿が頭の中をチラつかせる



「、、、っ」


もう、やめて


私達は終わったのだから


もう私の中に入ってこないで


そんな時だった


「Aって呼べばいいか？俺ら何回か会った事はあるけど直接話すのは初めてだったよな」


「、、！」


千冬が何か照れ臭そうに私に話し掛けてくる
私はそんな千冬に上手く返事をする事が出来なかった


「マイキー君と幸せにな」


千冬はそう言ってニッと笑う



凄く、複雑な気分だった


ーー「俺がAを幸せにする、だから付き合って欲しい」


ふと過去に千冬に言われた言葉を思い出す



あの時は凄く嬉しかった 、


思い出す程段々涙が込み上げてきて目の前が霞んでくる


でも泣いちゃ、駄目だ



もう泣いてはいけないの


忘れるんだ。



私達には何も無かった


そう何も



それにここで泣いたら万次郎君に失礼でしょ



私は今万次郎君と付き合ってるんだから



千冬はもう私には関係ないのだから



もう私達は別々の道を進んでいるんだから



「、、うん、ありがとうね。松野君」


私は込み上げる涙をぐっと堪え笑ってみせた





さようなら 千冬



千冬も幸せになってね








ーーーーーーーーーー

いつの間にかお気に入り500人突破していて吃驚しました、、ありがとうございます！

コメントも沢山ありがとうございます！
コメント来る度に跳ねて喜んでます(笑)


こっから続編に入る前に過去編に入ろうと思います。

引き続き読んで頂けたら嬉しいです！

episode45→←episode43

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す