12年前の元彼は私を見てくれない【松野千冬】

episode2 ページ3

「…！！」

鳴り止まないスマホに恐る恐る視線を移すと
スマホの画面に千冬という名前が表示されていた

突然の事に動揺しながら千冬からの電話に私は出てみる事にした

「も、もしもし、、」


話すのも久しぶり過ぎて思わず声が震えてしまう
緊張で鼓動が早くなった


「久しぶりだな。A」


「う、うん久しぶり。元気にしてた？」

久しぶりの千冬の声

その声は最後にあった日から大差変わってなくて

とても安心する声

自分がどれだけこの声を聞くのを心待ちにしていたか実感する


嬉しくて涙が出そうになる


「あぁ、俺は元気だよ」

「そっかぁ。なら良かった。メールしても返事がなかなか来なかったから心配してたんだよ？」


「寂しい思いさせてごめん。最近ずっと忙しくてさ」


「そうだったんだね、逆にごめんね？毎日メールしちゃって」


「いや、それは全然迷惑じゃなかった。逆に嬉しかった。ありがとうな」


「そっか。それなら良かった。」

その後少しの間沈黙が続き先に声を発したのは千冬だった


「なぁ、今日の夜会えるか？」


「え？うん。大丈夫だけど」


「なら良かった。今晩飯食いに行こう。」


「う、うん！ 楽しみだなぁ〜凄く久しぶりだよね、お洒落しなきゃね」


「楽しみにしてる。じゃあ今夜の20時に渋谷駅な」


「うん！20時ね。了解」


そう言って私は電話を切る


「よし、そうとなれば今日は仕事定時で帰らないと、、！」

私は上機嫌で手早く仕事に行く準備を進める


久しぶりに千冬に会える


どんな服を着ていこう

どんな髪型にしていこう


この時の私は千冬に会えるのが本当に楽しみで仕方なかった

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