12年前の元彼は私を見てくれない【松野千冬】

episode19 ページ20

「場地君、彼女居たんですか、、！？」

先に声を発したのは武道だった

そんな武道の問いにドラケン君は低い声で「あぁ」と答える


「中学1年の頃から付き合ってたらしい、あんまり俺は話した事ねぇが…場地も俺達にはあまり美鈴に会わせなかったからな」


「そうなんすか…」


「…俺達にはあまり会わせなかったけど千冬には会わせてたらしい。よく3人で会ってたみたいだからな」


マイキー君はそう言って目を伏せる


「だから千冬は余計美鈴をほっとけねぇんだろ」


「…。」


私は何も言えなかった


好きな人を失った気持ちは私も痛い程分かるから



ーーー「松野千冬が死んだ」


お兄ちゃんに言われたあの言葉が今でも耳にこびり付いて離れない



あの時の私は泣いて、泣いて、泣くことしか出来なくて

もう二度と会えない千冬を思い続けて


後悔ばかりしていた


あの時別れないで千冬の傍に居たら？

あの時千冬を追い掛けていれば？


何度も、何度も、後悔した



「…っ！」

気付いたら私の頬には涙が伝っていた
私は慌て袖で涙を拭うけど涙はどんどん溢れてきて止まらなくなる



「A、お前何で泣いて、、」

武道が私が泣いてる事に気付くと他の皆も私が泣いているのに気付く



「お前が泣く事ねぇだろ、関係ねぇ事だ、千冬は兎も角場地と美鈴には会った事もねぇのに」

マイキー君が私にそう言うと私は静かに首を横に振る


「関係ないかもしれないですけど、それでも私は悲しいです好きな人を失うのは本当に辛いから」


「A…」

隣に居た武道が私を心配そうな目で見る


「そんな泣くなよ…俺も泣きたくなるじゃんか」

武道は私の涙に釣られたのか目に涙を浮かべる


「武道…」



武道は何かが切れたかのように泣き出す


まるで、私と同じように大切な人を失ったかのように


とても悲しそうな、涙で

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