12年前の元彼は私を見てくれない【松野千冬】

episode18 ページ19

「あれ？A何でこんな所に…」

三ツ谷君の後ろから見慣れた顔、武道がいた

「実はね「俺が連れてきたんだよ、タケミっち」

マイキー君はそう言って私の肩に両手に乗せニッコリする


「俺さAと仲良くなりたくてさ」

「へ」

「つうか、何かほっとけなくて」


「もう、泣くなよなA」

マイキー君は私の目を見てそう言って微笑む


そんなマイキー君の言葉に私の脈がどくんと跳ねる

「お前まだ泣いてたのか？今度は何があったんだよ」

それを聞いたドラケン君が呆れた声でそう言うと私は顔を伏せ小さな声で「すみません」と言う


「ま、色々あるんだろ？言いたくねぇなら無理に言わなくていいぜ」


ドラケン君はそう言ってくしゃっと私の頭を撫でる

「…！」

ドラケン君の大きくて優しい手に思わず頬が綻ぶ




ーーーーーーー


その後皆で暫く他愛のない話をしていると、武道が何かを思い出したかのように口を開く


「あ、そういえば千冬まだ来ないっすね」


千冬の名前が出た瞬間私の脈はドクンと跳ねた


「そういや、そうだな。タケミっち連絡したのか？」

三ツ谷君が武道にそう言うと武道はポケットから携帯を取り出す


「したんですけど…ってさっき千冬からメール来てたみたいっす」


「何だって？」

ドラケン君がそう言うと武道は千冬からのメールを読む


「今日行けなくなった…ってきてますね」


武道がそう言うと皆の雰囲気がガラッと変わるのを感じる



「…美鈴か」


最初に口を開いたのはマイキー君だった


美鈴ーーー千冬と神社に居た女の子と同じ名前だった


それと同時に美鈴ちゃんが千冬に泣き付いていた光景が脳裏に浮かんで胸がぎゅっと苦しくなる


「美鈴って誰っすか？」


武道がそう聞くとドラケン君が口を開いた



「美鈴は場地の彼女だ」



「え…」


何も知らなかった私と武道はその事実に驚きすぐには声が出なかった

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