12年前の元彼は私を見てくれない【松野千冬】

episode17 ページ18

ブロロ…


「ひぃぃ！」

生まれて初めてのバイクに思わず私は悲鳴を漏らす

凄く安定しないし、スピード早すぎていつ振り落とされるか分からない恐怖に1人怯えているとマイキー君が笑い出す

「そんなに怖いかー？ずっとビビってんじゃん」

「は、初めてなんですもんバイクに乗るの！何か落ちそうで怖いですし！」

「落ちねぇよー、ちゃんと掴まってればさ」

マイキー君はそう言ってアクセルを切る


「うわぁああ！」


「スピード上げんぞ〜」

さっきより倍のスピードに私は振り落とされない様に必死にマイキー君にしがみついた



ーーーーーー

暫く走ると廃墟の前バイクが止まる



「こ、怖かった…」


やっとバイクに解放され私はあまりの恐怖に腰が抜けてバイクから降りるとその場にへたり込んでしまう


「バイクには慣れたか？」

マイキー君はバイクから降りると私の腕を引っ張り立たせてくれる

「あんなの慣れるわけ…」

そう言いかけた時だった

「マイキー遅かったなってお前は」

廃墟の中から誰かが出てくる
目を凝らして見ると見覚えのある人物ーーードラケン君だった


「陸人の妹じゃん」

「あ、こ、こんにちは」

ドラケン君は私を険しい目で見る
私は恐縮して一応挨拶をして頭を下げる


「何で連れてきたんだよマイキー」

「んー？何となく」

「何となくってなぁ、お前」

「す、すみません！私帰ります！」

今にも怒りだしそうなドラケン君に私は怖くなりこの場を去ろうと2人に背を向ける

けど、ここはどこーー？

「A、お前も来いよ。タケミっちも居るし」

マイキー君にそう言われて振り返ればマイキー君はニコニコしていてドラケン君は呆れてため息をついていた

「じ、じゃあお言葉に甘えて…」


1人で帰れる訳もなく私は2人について行く事にした



ーーーーーーー


「ドラケン、マイキーは？ってその子誰？」

廃墟の中に入るとはじめに銀髪の男の子が出迎える

「は、はじめまして私AAです」

私は取り敢えず銀髪の子に名乗り頭を下げる

「A？もしかして陸人の妹かなんか？」


「あ、はい！妹です」


「やっぱり？どうりで何となく似てる感じしたわ」

「そ、そうですかね？はは…」

私はそう言って苦笑いをする


「あぁ、そういえば自己紹介まだだったな、俺は三ツ谷隆」

三ツ谷君は宜しくな、と言ってニコッと笑った

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