12年前の元彼は私を見てくれない【松野千冬】

episode15 ページ16

「千冬君、今日は私に会ってくれてありがとうね」

「いや、全然大丈夫っす。美鈴さんは大丈夫ですか？体調とか…」

2人は賽銭箱の前にある階段に並んで座る

千冬はずっと美鈴という女の子を心配しているようだった


「もう、大丈夫。私吹っ切れたから」

「あまり無理しないでください。俺もまだ場地さんの事は吹っ切れてないですから」


場地さん、何回か千冬から聞いた事のある名前だった。尊敬してた先輩だったと、でも抗争で死んでしまったと千冬が言っていた

でも千冬はあまり私には場地さんについては話してくれなかったからあまり詳しくは知らない
きっと千冬は気を使って私にはあまり話さないようにしてくれたんだろう

でも、今その場地さんについて2人は話している。
千冬に詳しく場地さんの事を聞かなかった事を少し後悔する



「うっ…」

すると突然、美鈴ちゃんは泣き出す
そんな美鈴ちゃんに千冬は美鈴ちゃんの肩に腕を回す

凄く気にかけているように、それと少し愛おしそうに


そんな千冬を見て、私は気付いてしまった


千冬はあの美鈴ちゃんが好きなんだと



「…っ」

やり直せるかもと思ってた自分が馬鹿らしく思える


鼻の奥がつんとして目の奥が熱くなり涙が止めどなく溢れてくる


本当に私達は終わりなんだと思い知らされる


私達がもう恋人同士になる事は二度とない


私はあの2人を見ることに耐えきれず静かにこの場から離れた

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