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「Aは？」
「え？」
「俺の事、どう思う？」
どう思う？彼の事？
「……ドキドキ、する」
「ドキドキ？」
「笑ってくれると嬉しいし、一緒にいると楽しいけどドキドキする」
「……じゃあこれは？」
彼にふんわりと抱き締められる。
「ドキドキする？」
「……する」
すると私を抱き締める腕に力を込める彼。
でもやっぱり痛くないし、苦しくない。
「嫌？」
「嫌じゃ、ない」
「じゃあ……俺の事、好き？」
あぁ、彼はもうわかってるんだ。
私の気持ち。
それに私も。
わかってるのに、わからないふりしてたんだ。
彼が芸能人だから？出会い方があんなだったから？
まだ出会って数日しか経っていないから？
彼の事、何も知らないから？
いろいろ考えるけど、でもそんなのもう関係ない。
「……すき」
「じゃあさ、俺の彼女になってくれる？」
「……なる」
小さく答えると、さらにぎゅーっと抱き締めてくる彼。
「あー、よかった……」
「うん？」
「いや、すげーほっとした」
「何が？」
「だってさっき、マジでやっちゃったと思ったから」
「やっちゃった？」
「Aに構ってくるの？ って言われたとき」
「あぁ……そういえば、なんであんな凹んでたというか……」
「だってAの言い方がさ、怖くて」
「怖い？」
「なんか冷たいというか、棘があるというか……」
「そんなつもりなかったんだけど……」
「俺がベタベタし過ぎてウザくなったのかなとか、嫌われたかなとかいろいろ考えちゃって」
なんて盛大な勘違い。被害妄想。
でもそう思わせちゃったのは私。
「ごめんね？」
「Aが悪いんじゃないから」
それに、って言葉を続ける彼。
「今幸せだからいーの」
って笑う彼。
「……私も、幸せ」
２人で顔を見合わせて笑って、どちらともなくキスをした。
今までで一番優しくて甘いキスだった。
end
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作者名：リオ | 作成日時：2018年9月5日 19時
