この恋、出会いは覚えておりません

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「ご馳走様」


「お粗末様です」


「片付けは俺がやるよ」


「大丈夫、あっちでゆっくりしてて」


「でも作ってもらったし」


「いいから」



前もこんなやり取りしたなと思いながら、無理矢理彼をリビングへ追いやる。
片付けを終わらせてリビングへ移動すると、彼はいつかの様にDVDの棚を物色していた。



「気になるのあります？」



以前と同じように問いかけると、彼はこちらに視線を向ける。



「デジャヴ？(笑)」


「そうかも(笑)」



お互い笑いながら、手招きする彼の隣に向かう。



「棚から溢れてるけど、どんくらいあるの？」


「数えたことないからわかんない。新しい棚欲しいなーとは思ってるんだけどね」




最近のやつは組み立ては自分で、って物が多い。
今の棚もそうだった。
買ったときは１人で組み立てられると思っていた。
でも実際１人でやるのは本当に骨が折れる作業だった。
なんとか出来たものの、またあの作業をするのはご遠慮願いたい。



「組み立てがね、１人でやるの大変だからさ」


「じゃあ一緒にやればいいじゃん」


「……はい？」


「俺が車出すから、一緒に買いに行こう。で、そのまま組み立てればよくね？」



次の休みいつだっけなー、って携帯を操作する彼。
ちょっと待って。
なんかすごく当たり前みたいな感じで話が進んでいるけど。

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