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「あ、あの……?」
「いや、面白いなと思って」
「……え?」
「すっごく困った顔してるから」
いや、確かに困ってるけど。
そんな顔に出てたかな?
ってか面白いって何?
なんて返事するのが正解なの?
回らない頭をフル回転させていると
「覚えてないんでしょ?」
と彼が笑いながら言った。
「昨日のこと、どこまで覚えてる?」
責めることもなく、優しい声で彼が問いかける。
確か昨日は……
「……バーで、一人で飲んでて……」
「うん」
「……結構飲んでて、確か途中でテキーラ飲んで……」
「飲んでたね」
「…………」
「あ、そこまで?」
「……はい」
「その後は?」
「…………」
「なるほどね」
私の返答を、彼はずっと笑いながら聞いていた。
「それで?」
「え?」
「何が聞きたい?」
「あ、え?」
「ここは何処? 何があった? あ、それともバーの件から話した方がいい?」
「あ、の……えっと……」
「その前に、俺は誰だかわかってる?」
「それは、はい」
「よかった、自己紹介からしなきゃいけないかと思った」
そう言った彼の笑顔にドキッとして。
寝起きでちょっと寝癖もついてるのに、こんなにカッコイイなんてズルいなぁ。
そんなことを、どこか他人事のように考えていた。
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作者名:リオ | 作成日時:2018年9月5日 19時