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「狭いし散らかってますけど……」
「全然気にしない、お邪魔しまーす」
部屋に入ると、彼は物珍しそうにきょろきょろと部屋を見回す。
彼を『部屋』という自分の一番パーソナルな場所に入れてしまった。
その事実に、さっきまでの動揺はどこへやら。
諦めにも似た感情が湧き上がる。
もうここまできたら、開き直るのがいいのかもしれない。
「適当に座ってください。何か飲みますか? お茶かコーヒーか、オレンジジュース……」
「んー、じゃあコーヒー」
「はい」
彼をリビングへ残し、キッチンへ移動してドリップのコーヒーを淹れる。
お客様用のちょっといいやつ。
お客様用のカップに注ぐと、いつも飲むコーヒーよりいい香りがする。
「どうぞ、ブラックでよかったですか?」
「うん、ありがとー」
そう言って彼がカップに口を付ける。
「うわ、これ美味い」
「よかったです」
「コーヒー入れるの上手いね」
「そんなことないですよ。シャワー浴びてきていいですか?」
「どーぞ」
高速でシャワー、メイク、着替えを済ませてリビングに戻ると、彼は棚のDVDやBlue Rayを見ていた。
映画が趣味の私は、まぁそこそこの本数を所持している。
昔のハリウッドのモノクロ映画や、ちょっと珍しいイタリアのサイレント映画、最近の邦画、ジブリ
やディズニーみたいなアニメ映画などなど。
最近は増えすぎて棚が一杯になって、新しい棚を買おうか検討中。
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作者名:リオ | 作成日時:2018年9月5日 19時