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「えっ、いや適当なんですか。なんかものすごいな――」
「まぁ決めたの校長なんだけどね」
「校長って明日から通うことになってる――」
「うん、五月雨学園。校長はホノム・トリソニー。自由人のおじいちゃんだよ」
校長が適当に決めた単語が魔界や精霊界に広まり使われるようになるとはどれほどの影響力だ。そしてその人物が自由人とは一体なにがどうなってるんだ。それを平然と告げる白天も白天だ。
「明日は7時にはここを出るよ。多分昼過ぎに学校に着いてそこから入学式をして荷物の片付け、7時頃からパーティーだよ。片付けには1人に1匹遣い妖精が付くから安心してね。多分僕だと思うけど」
「入学早々忙しいね。付くのが君だと1番安心できるんですけどね。じゃ、もう寝るか。おやすみ」
「うん、おやすみ。僕は着物に着替えてから寝るよ」
白天には返事を返さないまま布団に潜って暗闇に身を任せた。明日、嫌がらせのような光が迎えに来るだろう。
猫が外で喚いていた。ゆらゆらと揺さぶられて目が覚めた。光のなかで白が揺らめいた。白天だろうと思っていると、それは翼を広げて早く起きろと催促していた。
「あ、起きた?」
「いや、あ、起きた?じゃないから。このハトは何なの!」
「うむ、何と言われてもハトはハトなのだが」
「どっから来たのかわかります?」
「うーん、あ、この子野生だ――多分ウイング・ビルズから来たんだと思う」
サッと跳ね起きてハトを見て白天に向かって叫んだが、連れてきたわけではなかったらしい。おもむろにハトを抱き上げてすんすんとにおいをかぐと出身地まで特定してしまった。問題のハトは白天の腕の中で丸くなっている。それから30分後、ふとハトを探してみるも見当たらない。飛んでいってしまったのだろうかと、窓に向かおうとしたが、もう見えないだろうかと思い、引き返した。
「あ、そういえばウイング・ビルズって何なんです」
そういえば説明されていない。白天はさらっとその単語を使うが、肝心の説明を忘れるのだ。
「えっ、あ――ごめん、説明してなかったね。魔妖界に存在する、正体不明の孤塔。ちょっと浮遊してるように見えるから――もしかしたら本当に浮遊しているかもしれないけどね。だから通称、ウイング・ビルズってなったの。さて、このハト、どうやって保護しようかね」
「えっ、保護ってどういうことです?」
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作者名:天川凛廻 | 作成日時:2017年12月24日 20時