魔術学校戦争物語 (ページ12)

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突然会話を振られて、人見知りとコミュ障を見事に発揮しつつも返事を返すと、少年は再び笑みを浮かべてうなずいた。
ふっと笑みを消してハトをかごから出し、白天の腕に止まらせると両手をハトに向け、謎の言葉を発して目を閉じた。
数秒後、ゆっくりと目を開けてふっと笑うと窓の外へと出ていってこちらを振り返った。

｢じゃあ、そろそろ行くよ。またいつかね｣

返事を返す間もなくどこかへ飛んでいった彼の背を見送って、白天の方を見ると耳をまっすぐに立てて瞬きもせずに外を見ていた。
もう、なにも、聞こえないはずなのに。
もう、なにも、見えないはずなのに。
話しかけてはいけない。
なにかがきっと、どこかで壊れてしまう。
沈黙の中にある何かを聞いていたら、見ていたら、自分が小さいものだと思う。わからなくなる。

***

誰がいつ、どこで、どうやって作り出したかもわからないこの世界で。生き方に正しい、正しくない、美しい、美しくないだなんて、本当に決められるのだろうか。
誰かがいつか、考えたかもしれないこの問いはどんな色をしているだろうか。
僕の次に考えるのは誰だろうか。
まぁ、答えなんてでなくてもいいのだけれど。
遥か遠くから突きつけられる目線に怯えるわけでもなく周囲を見回した。何もない。
さて、黒の巫女でも探しに行こうか。またどこかの屋根で眠っているだろう。

｢次に姿を見せるのはいつになることやら｣

そう、君は知ることを求めてしまった。
僕は何者でもなく、誰の味方でもない。
空中を散策しながら、作り出したプリズムを弄ぶ。
この四季彩を失った森のためにこれを託そう。

***

景色が一変して古びた学園校舎が現れた。台風でも来たら一瞬で崩れ落ちてしまいそうだ。
ゆっくりと風景が止まり、蒸気の音と共に扉が開いた。人が多いだろうと思っていたが、それほどでもなく、まだ数えられる範囲内だった。

｢人、案外少ないんですね｣

｢まぁ、汽車はね。新幹線が一番多くて次が飛行機。歩きやら自転車やら、バスのひともいるね｣

交通機関は統一されているものだとばかり思っていたが、そうでもなく自由なものだ。
入国審査のようなことをするのか、気だるげな門番のところに黒ヘビのような列をつくっている。見た目と同じくらいにゆるい審査を通り数歩歩くと、古びた学園校舎は、突如城へと姿を変えた。
浮遊した絨毯に乗って城へと向かっていく。
これから、常識なんて通用しない世界が広がるのだろう。