第四十四話 ページ46
新しい家は、自然の多い田舎の中の住宅街の、マンションだった。
とっても良さそうなところ。
きっと、夫婦でここに住んでいたとしたら、毎日が楽しいだろう。
けれど、私は目に見える風景全てが灰色に見えた。
「君は休学手続きをとって、この一年はここで過ごすように。
いいね、絶対にあの街に帰ってきてはダメだ」
「わかった、ありがとう降谷さん」
降谷さんは何もない一室に、とりあえず必要そうな生活雑貨を運び入れてくれた。
私には手伝わなくていいと言って。
こんな時にも、この人は優しさを忘れない。
本当に、こんな人を悩ませるなんて・・・。
あの人があのまま、死んでいると思い続けていたら。
私を助けてくれたあの人の変装を、無理に解かなければ。
もっと、平和な気持ちでいれたに違いない。
あの人はそれをわかってて、私の前から永遠に消えようとしてくれていたのに。
私は本当に愚かだ。何にもわかってない。
前より、ずっとずっと辛い・・・。
私は、そっと部屋から出た。
ここは7階。ここから見える街はとても美しい。
自然と、整然と並びたつ家々。遠くに見える山。
とても高い。
天に近い位置にいるのかな、私。
今。
ふと、下を見てみる。
ガクッと頭が前に進む。
頭の重さを感じる。
ーーこのまま、いなくなってしまえば、楽になるのかしらーー。
その時、呼吸をしていると気づいた。
下を見続けている自分がいると気づいた。
だめ。だめじゃない。何をしようとしてるのーー！！
正気に戻って青くなる。
そして力無い笑いが口からもれた。
一回、落ち着こう。
このままじゃだめだ。
だから私は一旦、深呼吸する時間をつくらないといけない。
絶対に。
時間が欲しい。
陽の光をいっぱいに浴びる時間が。
何も考えず、綺麗な空気を吸う時間が。
たくさん考えるための、時間が。
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凜(プロフ) - iwaさん» コメントありがとうございます！いえ、私自身どちらか一人を選ぶとすると話の収集がつけられなくなってしまうため、もう一人はもう一つのストーリーで幸せになってもらうことにしました笑 今テスト期間のため、再来週くらいになったら更新再開します！ (2019年7月10日 20時) (
レス) id: 016d1e72e6 (このIDを非表示/違反報告)
iwa(プロフ) - どちらもありのｴﾝﾃﾞｨﾝｸﾞ贅沢すぎて嬉しいです。お手を煩わせてしまって読み手として申し訳ないですが、たのしみにしています。 (2019年7月10日 20時) (レス) id: d46b647962 (このIDを非表示/違反報告)
凜(プロフ) - 亞里亞さん» ありがとうございます！それぞれのエンディングは今悩み中です！ ただ幸せになって終わるだけじゃないかもしれないですが、楽しみにしていてくださると嬉しいです！ (2019年7月7日 19時) (レス) id: 8f4e5bf045 (このIDを非表示/違反報告)
亞里亞 - お疲れ様です！！赤井さんも降谷さんも大人なので最終的には幸せを願って身を引けるんだろうななんて今から泣ける準備してますね！！ (2019年7月7日 15時) (レス) id: 6308b08dc9 (このIDを非表示/違反報告)
凜(プロフ) - 優愛さん» ありがとうございます！！ 最近更新遅くて申し訳ないですが、ゆっくり頑張ります！ (2019年6月13日 21時) (レス) id: 8f4e5bf045 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：凜 | 作成日時：2019年5月24日 0時
