検索窓
今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:96,235 hit

第四十三話 赤井side ページ45

久しぶりに会ったAは、何も変わっていなかった。
一人、車を運転しながら彼女のことを想う。

全く、いじらしい。

愛する男を他につかまえておきながらなお、俺のことを忘れないでいてくれたなんて。

本当は、俺とは別の人生を歩み始めた彼女を黙って見守っていたかった。
彼女が他の男のものになったとわかったときは正直に惜しいと思ったが。
だが死んだ者が、生きていく者のしがらみになってはいけない。


それに・・・。
組織で出会ったあの女。
俺にはAという永遠の恋人がありながら、あの女にわずかでも心を許した。
決して誰にも心を開かないつもりでいたのに。
それは完全に裏切りだ。


だからこそ、もうAを求めることはしない。
あの夜で最後。
もう俺に、彼女を抱きしめる資格はない・・・。



だが再会して気がついた。
ーー宮野明美とAはよく似ているということに。
だから俺は、もう二度と帰らない幸せとあの女を重ねていたのかもしれない。

心優しく、穏やかで、ひたすらに愛してくれ、聡明でありながら愚かでもあるーー。
泣き虫で、強がりで、矛盾だらけの。
ごく平凡な、弱い女。
だが何より愛おしいーー。



Aに降谷零を諦めろというのは酷だ。
そして俺の元に帰って来てくれとも言えない。
しかし、俺は彼にAを任せたくはない。
彼が彼女を守りきれると、確信できるまでは。


自分が、恐怖しているのがわかる。
前ならそんなことはなかった。
あの女を守りきれず死なせてしまった・・・そのことを後悔しているのかもしれない。


自然と息がもれた。

失いたくない。
心から愛した、そして今なお愛するAを。
たとえ手の中から離れていったとしても変わらない。




さあ降谷君・・・君は彼女を守れるのか?

第四十四話→←第四十二話 安室side



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (110 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
277人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - iwaさん» コメントありがとうございます!いえ、私自身どちらか一人を選ぶとすると話の収集がつけられなくなってしまうため、もう一人はもう一つのストーリーで幸せになってもらうことにしました笑 今テスト期間のため、再来週くらいになったら更新再開します! (2019年7月10日 20時) (レス) id: 016d1e72e6 (このIDを非表示/違反報告)
iwa(プロフ) - どちらもありのエンディング贅沢すぎて嬉しいです。お手を煩わせてしまって読み手として申し訳ないですが、たのしみにしています。 (2019年7月10日 20時) (レス) id: d46b647962 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 亞里亞さん» ありがとうございます!それぞれのエンディングは今悩み中です! ただ幸せになって終わるだけじゃないかもしれないですが、楽しみにしていてくださると嬉しいです! (2019年7月7日 19時) (レス) id: 8f4e5bf045 (このIDを非表示/違反報告)
亞里亞 - お疲れ様です!!赤井さんも降谷さんも大人なので最終的には幸せを願って身を引けるんだろうななんて今から泣ける準備してますね!! (2019年7月7日 15時) (レス) id: 6308b08dc9 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 優愛さん» ありがとうございます!! 最近更新遅くて申し訳ないですが、ゆっくり頑張ります! (2019年6月13日 21時) (レス) id: 8f4e5bf045 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2019年5月24日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。