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第二十九話 ページ31

「お久しぶりです、Aさん」
「こんにちは、沖矢さん」

結局。
私は沖矢さんとお昼を一緒にすることにした。
校内にあるイタリアンレストランで、ちょっとリッチなランチ。
「なんだか嬉しそうな顔をしていますね。何かあったのですか?」
「え? ううん、なんでもないです」
「初めてお会いした頃は、固い表情をしていたことが多かったと思っていてーー今はとても落ち着いた表情をしていらっしゃる」
ぎくり、とする。
今朝も、ちょっと安室さんといちゃいちゃしてたもの。
私は恥ずかしくなり、オニオンスープを飲んで火傷しそうになる。

「もしかして、彼氏ができたーーとか?」
「えっ!!」

そしてスープを吹き出しそうになる。
なんでそこまでわかるのーー!?

「そうなんですね?」
「んーー別にそういうわけじゃーー」
そうですか、と沖矢さんはわずかに笑う。
そして、私の首をひょいと指差した。
ふとそこを見るとーー赤い痕。

わああああ! こんなとこにつけられてたの気づかなかった・・・!
もう、なんでこんなとこにつけるの、安室さんたら・・・!
流石に、言い訳できない。

「もしかして、この間一緒にいた彼ですか?」
「それは、教えられません! 本当に許される恋なのか、まだわからなくてーー」
「あなたの前の恋人は、確か亡くなってしまったのですよね」
そうーーだけどそんなことこの人に言ったっけ?
「別に悪いことではないと思いますよ。あなたを残していなくなった男にも罪があるーー50:50だと思えば」

50:50・・・!?


私はフリーズした。
それって・・・。
あの人の口癖だったから。
そんな言い回し、使う人なんて見たことない。

「ねえ、沖矢さん。あなたって本当に沖矢昴さん?」
「そうですが?」
もしかしたら。
ーー以前、安室さんが秀一さんが生きているかもしれない、と言っていたのを思い出す。
やはり死んでいた、なんて彼は言っていたけど。
彼が本当のことを私に伝えたのはわからない。


「お願い。私に何も隠し事をしないでーー本当のことを言って」
あなた、秀一さん?なんてはっきりとは聞けない。
この人がもしかしたら組織の人間である可能性がある。
「ーー別に、僕は何も隠してはいません」
「ほんと・・・に?」
「断じて。何を隠す必要があるのでしょう」


わからない、この人ーー。絶対何か隠してる。
ねえ、秀一さん、なの・・・?
そしたら私ーー。

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(プロフ) - iwaさん» コメントありがとうございます!いえ、私自身どちらか一人を選ぶとすると話の収集がつけられなくなってしまうため、もう一人はもう一つのストーリーで幸せになってもらうことにしました笑 今テスト期間のため、再来週くらいになったら更新再開します! (2019年7月10日 20時) (レス) id: 016d1e72e6 (このIDを非表示/違反報告)
iwa(プロフ) - どちらもありのエンディング贅沢すぎて嬉しいです。お手を煩わせてしまって読み手として申し訳ないですが、たのしみにしています。 (2019年7月10日 20時) (レス) id: d46b647962 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 亞里亞さん» ありがとうございます!それぞれのエンディングは今悩み中です! ただ幸せになって終わるだけじゃないかもしれないですが、楽しみにしていてくださると嬉しいです! (2019年7月7日 19時) (レス) id: 8f4e5bf045 (このIDを非表示/違反報告)
亞里亞 - お疲れ様です!!赤井さんも降谷さんも大人なので最終的には幸せを願って身を引けるんだろうななんて今から泣ける準備してますね!! (2019年7月7日 15時) (レス) id: 6308b08dc9 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 優愛さん» ありがとうございます!! 最近更新遅くて申し訳ないですが、ゆっくり頑張ります! (2019年6月13日 21時) (レス) id: 8f4e5bf045 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年5月24日 0時

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