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第二十五話 ページ27

それから、私達はなんとなくしんみりした感じになって、ハイキングを終えた。
これから旅館に泊まる。
一緒に暮らしてたから気づかなかったけど、これってデート、みたいなんだよね。


「露天風呂もあるらしいですねぇ、楽しみです」
「日替わりで香りが変わるお風呂もあるんですって」
小綺麗な旅館についたときは、いつもの二人に戻った。
安室さんは荷物をさっさと置くとお湯をわかしパソコンを開いた。

「ちょっと仕事終わらせてしまうので。終わったら近くの温泉街を歩いてみましょう」
「うん。楽しみ」
カタカタとパソコンを打つ安室さん。
なんの仕事なのかなあ。
私は急須にお湯を入れ、お茶を作った。


いすにもたれかかりながら、さっきのことを考える。
ーー僕は今、君を愛してるーー
なんて!
思い出すと恥ずかしくなってくる。

私は勘が鋭いから、なんとなく、彼は私を好きでいてくれてるとは思ってたけど・・・。
女として好きでいてくれたなんて思わなかった。
嬉しい。素直に。

だけど。
いけない気がするの。
私の中からあの人を締め出してしまうような気がして。

でもずっとこのままってわけにもいかないし・・・。
だけどいつになったら踏ん切りがつく?

でも、でも、でも、の繰り返し。
つらいなあ・・・。



「どうしました?」
ふと気づくと、安室さんが私の顔を覗き込んでいた。
「具合悪いですか?」
「ううん、なんでもないの」
安室さんはふうん、と納得いかなそうにしてたけど、パソコンを閉じ立ち上がった。
「終わりました。行きましょう」
はやっ。
10分くらいで仕事とやらを終わらせたのか。


私達は並んで歩いた。
日は傾き、オレンジの光がまぶしい。
隣を歩く安室さんの髪はきらきら光っててーー。
空を見上げて瞬きするのがかわいくて。
一つ一つの動作が、すごく好きで。


自然と、頬がゆるんでいた。
こんな瞬間に、認めてしまうんだ。
認めざるを、えないんだ。


・・・この人のこと、好きなんだなって。

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(プロフ) - iwaさん» コメントありがとうございます!いえ、私自身どちらか一人を選ぶとすると話の収集がつけられなくなってしまうため、もう一人はもう一つのストーリーで幸せになってもらうことにしました笑 今テスト期間のため、再来週くらいになったら更新再開します! (2019年7月10日 20時) (レス) id: 016d1e72e6 (このIDを非表示/違反報告)
iwa(プロフ) - どちらもありのエンディング贅沢すぎて嬉しいです。お手を煩わせてしまって読み手として申し訳ないですが、たのしみにしています。 (2019年7月10日 20時) (レス) id: d46b647962 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 亞里亞さん» ありがとうございます!それぞれのエンディングは今悩み中です! ただ幸せになって終わるだけじゃないかもしれないですが、楽しみにしていてくださると嬉しいです! (2019年7月7日 19時) (レス) id: 8f4e5bf045 (このIDを非表示/違反報告)
亞里亞 - お疲れ様です!!赤井さんも降谷さんも大人なので最終的には幸せを願って身を引けるんだろうななんて今から泣ける準備してますね!! (2019年7月7日 15時) (レス) id: 6308b08dc9 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 優愛さん» ありがとうございます!! 最近更新遅くて申し訳ないですが、ゆっくり頑張ります! (2019年6月13日 21時) (レス) id: 8f4e5bf045 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年5月24日 0時

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