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第十四話 ページ16

「ね、ねえさっきのは・・・」
「黙れ。早く歩け」
まるでいつもとは別人。
私は、やっと後悔を感じ始めてきた。

・・・安室さんの正体も、薄々感じ始めている。
この人、裏社会の人なのかもしれない。
そしてそれは、あの人の敵となるような、大きな組織の・・・。


そんな人に、今捕まっているということになる。
命の、保証はないーー。


しばらく歩き、道に停めてある車を見つける。
安室さんは、ロックを解除し、後部座席のドアを開けた。
「入れ」
「でも・・・」
「口答えは許さない」
乱暴に突き飛ばされて、私は車に載せられた。
抵抗する間も無く、車は発進してしまう。
冷や汗が流れ出した。


車はどこに向かっているのかわからなかった。
ぐるぐると回り続けたり、曲がったり、ひたすら走ったり・・・。
やっと到着したのは、綺麗なマンションだった。

私は恐怖で一言も喋れないまま、安室さんが車を降りるのを黙って見ていた。
もっとやばそうな倉庫とかに連れてかれると思ったけど・・・。
「降りろ」
ドアを開けられて、私は車から降りる。安室さんに腕を掴まれて、私はマンションの中へと連れていかれた・・・。




連れてこられたのはとある一室。
安室さんは鍵を閉めると、ふうっと大きな息をついた。
私は何をされるかと思ってビクついていたら。
思いがけず、安室さんの表情は緩んでいた。
「全く、なんていうところに出てきたんですか」
「え・・・?」
「もっと考えてから行動してくれ。危ないところだったんだから」
いつものような、薄い笑みを浮かべた安室さん。

私は、ぽかんとしてしまう。

「ここは僕の家ですよ。安心して」
「安心って・・・あなた何者なの?」
安室さんは、目を閉じて、首を降る。
「それは言えません。僕はただの安室透です」
「そんな、教えてよーー」
安室さんは、私に、部屋に上がるよう促した。
「あなたのそういうところが、今回の一件を招いたのですからね。自業自得です」
「ねえ、じゃあお家に返してよ。なんでこんなとこに連れてきたの?」
全く、訳がわからない・・・。

私がいうと、安室さんは振り向いて、目を細める。
「帰ったら死ぬかもしれないがーーいいのか?」
死ぬ・・・って・・・?



私は、険しい顔をした安室さんのことを、ただ見つめるしかなかった。

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(プロフ) - iwaさん» コメントありがとうございます!いえ、私自身どちらか一人を選ぶとすると話の収集がつけられなくなってしまうため、もう一人はもう一つのストーリーで幸せになってもらうことにしました笑 今テスト期間のため、再来週くらいになったら更新再開します! (2019年7月10日 20時) (レス) id: 016d1e72e6 (このIDを非表示/違反報告)
iwa(プロフ) - どちらもありのエンディング贅沢すぎて嬉しいです。お手を煩わせてしまって読み手として申し訳ないですが、たのしみにしています。 (2019年7月10日 20時) (レス) id: d46b647962 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 亞里亞さん» ありがとうございます!それぞれのエンディングは今悩み中です! ただ幸せになって終わるだけじゃないかもしれないですが、楽しみにしていてくださると嬉しいです! (2019年7月7日 19時) (レス) id: 8f4e5bf045 (このIDを非表示/違反報告)
亞里亞 - お疲れ様です!!赤井さんも降谷さんも大人なので最終的には幸せを願って身を引けるんだろうななんて今から泣ける準備してますね!! (2019年7月7日 15時) (レス) id: 6308b08dc9 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 優愛さん» ありがとうございます!! 最近更新遅くて申し訳ないですが、ゆっくり頑張ります! (2019年6月13日 21時) (レス) id: 8f4e5bf045 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年5月24日 0時

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