【ハイキュー】いわゆる"モテ期"到来season3

第107話　わらった… ページ12

バチッ

ボッ


田「大地さんナイスカバー！」

澤「西谷！」

東「レフト！」



やはり日向の速攻は犬岡に止められてしまう。

烏養さんがなぜ日向を下げないのか。
これが公式戦なら替えるかも知れない。が、今は練習試合。ミスしてもそこで"終わり"じゃない。つまり、今は解決策を探すチャンスということだ。

でも、日向が戦意を喪失してしまう様なら一度下げたほうがいいと思う。
さっきは大丈夫そうに見えたが、これからどうなるかは誰にもわからない。



キュッ…

キュキュ

ブワッ


『(躱した…！？でも…！)』

犬「ふぐっ…！」


バチッ



また、犬岡に捕まる。






――気力を挫く"人の壁"


打てば打っただけ心は折れて――





―ﾋﾟﾘｯ―





『！！……わ、』

猫「――わらった…」


打っても打ってもブロックに捕まるこの状況。
スパイカーなら誰だって心が弱る。顔が下に向いて、トスを呼ばなくなり、ましてや笑顔なんて。

でも日向は、この状況がたまらないとでも言うような顔で、うっすらと笑みを浮かべた。
その瞬間にコート、いや体育館内の空気が変わる。それは味方も敵も関係なく。


影「…オイ」

日「なんか…違うんだ…」

影「あ？」


そんな日向を心配してか、影山が声をかける。日向は、息を切らせ肩で呼吸をしながら影山に応えた。


日「ブロックで"向こう側"が全然見えなくて、どうすればいいのか全然わかんなかったあの頃の感じとはなんか違う…
音駒(むこう)もギリギリでついて来てるのわかる…
…今までブロックは恐くて嫌なだけだったのに、あいつが目の前に来るとわくわくするんだ。
お前のトスとあと…何か…何かの工夫で…打ち抜けるんじゃないかって思うんだ。
だからもう一回、おれにトス、上げてくれ」


影「…当たり前だ」



日向の真っ直ぐな言葉に、影山は静かに頷く。

…っていうか「わくわくする」って日向はバトル系マンガの主人公か何かなの？？
だってそれ「オラわくわくすっぞ」ってことでしょ？

そんな事を考えながらコートに目を戻した。
その時だった。



キュッ

ビッ

…フイ


『えっ…』

影「！！」

日「あ"っ…オアッ」


すかっ

てーん…


犬「！？」




影山のトスは日向の手に当たることなくコートに落下する。
っていうか、今、日向…！




菅「トスを見た…！」

山「え…でもそれって当然のことですよね？」

菅「普通はそうだけど！」


スガさんの言葉に山口が反応する。
そう、本当はそれが普通。でも日向の場合は…

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