トリプルフェイスのご寵愛vol.3【名探偵コナン】

ep.130　初仕事 ページ40

初めてのお客様は我らが東都大学生らしい。
加えて、かつて私も所属していた陸上部の人だなんて…。…母校の後輩を接待するとは、なんとも複雑な気分だ。

そんなことを考えながら、隣にいる海さんの見よう見まねでマッサージの準備をしていく。
ドレスの上から上着を羽織り、マッサージを行う場所にタオルを置いて…


『………』


っていうかタオルいらなくない？
たぶん摩擦を軽減するために用意してるんだと思うけど、相手はジャージ着用してるし。こっちも長袖の上着来てるし。…うん、やっぱり要らないよね。

いざマッサージを始めようとした時に、ふとそんなことに気付く。こう見えて中学からずっと陸上をやっていた身だ。先輩のマッサージだって数え切れない程やってきた。

散々(っていっても5秒ぐらい)考えた挙げ句、結局私は自己流でやることにした。


『怪我されてるところとかないですか？』

「あー右のもも裏故障中だから、そこは優しめで笑」

『了解です』


右のもも裏、ね。
確かにテーピングがしてある。…肉離れだろうか。私は足の裏から丁寧にマッサージをしていく。


『種目は跳躍ですか？』

「おぉよくわかったねー、俺走幅跳なんだよー」

『ももにこんな風にテーピングをするのは肉離れが多い。そして跳躍種目の選手で踏切の時にももを痛める人は少なくないですからね。』

「おぉー…当たってる…笑」

海「南、凄いな！なんでわかったんだ？！」

『自分も中高は陸上部でマネしてたので！長距離の専門外ですけど、短距離・投擲・跳躍のことなら自信あります！』ﾆｺｯ


マッサージを続けながら海さんやお客さんと話す。…実際は大学卒業するまでやってたけどそれは内緒。だって今大学生の設定だからね笑


「どうりで…マッサージ、めっちゃ気持ちっす！」

『良かったです！そう言ってもらえると頑張ってやる甲斐がありますね！』

「もうウチのマネに来てもらいたいくらいだよー！ところで南ちゃん何大？」

海「あぁ！それ私も気になる！」

『私は通信の大学ですよ…頭悪いんです…笑』


答えづらい質問も適当に誤魔化して回答する。全て降谷さんと準備してきた事だ。何も問題はない。


『っと、こんなもんですか？』

「ありがとう！めっちゃ気持ち良かった！＋超身体が楽になった！」

『ﾌﾌｯ…その肉離れはケア不足です。練習後はしっかりマッサージして、治療もこまめに行ってくださいね？』

「はーい笑」


こうして順調に私の仕事は進んでいった。

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