ep.106 煙草の煙と思い出 ページ15
千尋side
赤井さんがジンさんたちとケンカ中だと言う話をしてくれた。その後で懐から煙草を取り出す。
『っ…!』
その光景に、今までの会話が一気に飛ぶ。
頭に浮かぶのはかつて短いながらも時間をともにした二人の警察官。もう何年も前に二人とも殉職してしまったが…
赤「…ん、すまない。」
『あ、いやお気になさらず!』
赤「?…嫌だったんじゃないのか?」
コ「僕もそう思ったよ。千尋姉ちゃん、赤井さんが煙草取り出した時じっと見てたし…」
ボケッとする私に気づいた赤井さんとコナン君が不思議そうにこちらを見る。
『ちょっと昔の知人を思い出してさ…』
彼らを思い出しながら呟く。
強くて優しくてたまに意地悪で、一緒にいる時はいつも私を笑わせてくれた。父と母以来の大切な人だった。
でももういない…
『…その人、かなりのヘビースモーカーだったんですよ?いっつも私の顔に煙草の煙吹き付けてきて…本っ当迷惑ですよね…』
泣きそうになるのを我慢しながら赤井さんとコナン君に話す。
(「大丈夫だ、絶対生きて戻ってくる。」)
(「俺はお前を置いて行ったりしねぇから。」)
『…(うそつき)』
二人ともそう言って私の前から居なくなってしまった。皆そう。お父さんもお母さんも、あの二人も…
『っ…』
思い出すと目頭が熱くなり、瞳から光るものが一筋頬をつたう。でもすぐに、二人に気づかれないよう雫を拭いて私は平然を装った。
『前も思ったんですけど…火、マッチでつけるんですね。今どき珍しい…』
赤「よく言われるよ」フッ
私が何事もなかったようにそう言うと、口からフゥーと煙を吐きながら赤井さんが答える。
…にしても煙草吸ってる赤井さん。なんとも絵になる。流石私の初恋の人。
『赤井さん』
赤「なんだ?」
『……。お酒何かありますか?』
赤「あぁ、今出すよ」
『ありがとうございます』ニコ
…聞こうとしてやめた。
前に会ったの覚えてますかって。
第一自分で忘れてたんだ。聞く資格すら無い。でも。せっかく思い出したからあの時の"約束"を果たしたいと思った。
赤「バーボンしか無いがいいか?」
『大丈夫です』
赤井さんからグラスを受け取って互いに酒をつぐ。カンッとグラスをぶつけてから口元へ運ぶ。さっきもこれ飲んだなぁ…なんて思いながら静かにグラスを傾けた。
ちらりと赤井さんを盗み見ると、お酒を飲む姿もやっぱり絵になるので少し顔が熱くなった。
…きっとこのお酒のせいだろうけど。
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りんねむ(プロフ) - コメント、応援ありがとうございます!これからももっともっと楽しんで頂けるよう頑張ります!! (2020年4月11日 2時) (レス) id: 529938dd30 (このIDを非表示/違反報告)
#Marisa - めちゃくちゃ面白いです!これからも応援してます!更新頑張ってください! (2020年4月11日 1時) (レス) id: 12856f7fd8 (このIDを非表示/違反報告)
りんねむ(プロフ) - イアデビルさん» コメントありがとうございます!!頑張ります!!(^_^)丿 (2020年4月4日 17時) (レス) id: 529938dd30 (このIDを非表示/違反報告)
イアデビル(プロフ) - 面白いです!更新待ってます!頑張ってください! (2020年4月3日 13時) (レス) id: ef5404f845 (このIDを非表示/違反報告)
りんねむ(プロフ) - ルイさん» コメントありがとうございます!ファミリー揃うのマジか!!って感じです!私も公開日に絶対見に行きます!(^^)v (2019年12月6日 16時) (レス) id: 529938dd30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんねむ | 作成日時:2019年11月25日 0時