トリプルフェイスのご寵愛【名探偵コナン】

ep.31　悪くない…はず。 ページ32

千尋side


ヴーヴーヴー

『あ、すみません。』

ジョ「いいわよ、ここで出て。」

『ありがとうございます、じゃあ失礼して…もしもし？』


話の途中で携帯のバイブ音が鳴る。
コナンくんといい、こんな時間に誰だろうと思いながら、皆さんに頭を下げつつ応答ボタンをタップする。故に相手を見るのを忘れた私。
その相手は"あの人"だった。


降「俺だ。」

『げっ降谷さん…！』


我らが鬼の上司、降谷さんだった。
思わず心の声が漏れてしまう私。


降「げってなんだ、げって」

『ナンデモナイデス。ゴメンナサイ。』

降「全くお前は…で、今何処にいるんだ？」

『ダニーズでご飯食べてます。』

降「ほぅ…報告書が溜まっていると言うのに君はダニーズで美味しいパスタを食べているのか…」

『っ！ち、違います！これはコナンくんがっ…！』

降「コナンくんのせいにするのか？」

『だって…！あ、間違えました訂正します！私は今イケメンとデートしてます！』

降「………。は？」


降谷さんに抵抗するため、必死に理由を考える私。赤井さんといるから間違ってはいない。…はずだ。
だってさ、本当にコナンくんのお迎えに来ただけなんだよ。カルボナーラ食べてるけど。デザートにチョコレートパフェも食べてるけども。


『だから、イケメンとデートしてるんです！ダニーズデート！ハニトラの練習！仕事の一貫！そう、だから私は悪くない！』

降「相手の名前は…？」


はい無視されました。千尋ちゃん傷つきました。一生懸命考えた理由なのにー。
そんな私の気持ちもお構いなしに降谷さんは話を進める。…ちょっと声が低くなっているのは気のせいだと思いたい。切実に。


『えっと…あ、個人情報なので言えません！』


降谷さんに相手の名前を聞かれたが、いくらFBIだと言っても警察官として人様の個人情報をホイホイ言うのは良くないだろう。
一度赤井さんを見たあとで頑張って誤魔化す。


降「お前…上司に逆らう気か？」

『ふ、降谷さんこそパワハラで訴えてもいいんですか？』


上司という立場を利用して脅してくる降谷さん。マジ怖い。ならば、と思いわたしも部下という立場を利用して反論する。


降「チッ…わかった。それ以上は聞かない。だが、そんな悪い子にはお仕置きが必要だよな？」

『え、お仕置き…？』

降「…今から送る資料をまとめておけ。明日までだ。」

『………。嫌だぁぁぁぁ！！！』

ツーツーツー


降谷さんは最後に半笑いで命令して電話を切った。

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