目が覚めたら棺の中でした (ページ18)

今日:22 hit、昨日:4 hit、合計:8,992 hit

18 ページ18

「えっ…。ラウンジ…ですか…？」

予想していた場所と大きく違い、腑抜けたような声が出る。それを不満に思ったのか、

「は？用事ないって言ったよな？」

フロイド先輩が私の顔を下から覗きこむように見る。目は鋭く、逃がさない。と言いたげな表情だった。

「な、ない…です…。」

先輩の目から逸らさずにゆっくりと、首を縦に振りながら答える。いや、正しくは逸らせなかったというのが正解だろう。

本能的に逸らしてはいけない、と脳が告げていた。すっかり縮みこまってしまった私に、なぜか先輩は上機嫌になる。

「良かったぁ！放課後迎えに行くねぇ。」

先ほどのやり取りとは打って変わって、甘く優しい表情で私の頭を撫でる。
ここで否定しない方がいいと選んだ私は、

「お、お願い…します…。」

「うん。任せて～。」

再び先輩から視線を逸らして答える。彼はとても満足そうだった。
何か企んでいるのだろうか、と頭によぎる。

考え直してみると先輩は一見無邪気だが、深く知っていくとそうではないと現実を見せられる。
暴力的で自分の納得のいく答えでないと満足しない。

本当に大変な人に捕まってしまった。
下手をしたら命の保証はない。これから先、やっていけるだろうかという不安で倒れそうになる。